昔の含み益経営を彷彿させる外為特会の活用
政府が消費税増税の際の軽減税率の財源に外国為替資金特別会計の積立金を活用するという話が出ているようです。円高の進行を防ぐため短期国債などで調達した資金をドル買い円売りで投入しましたがその際のドル建ての資産がドル高で20兆円の含み益(為替差益)があるようです。今回、その20兆円の一部をこの軽減税率の財源に用いるようです。
実は時価会計が企業に適用される前の90年代以前は少しでも業績が悪くなると含み益のある株式や土地を売却して益出しして埋め合わせるということがよくおこなわれました。繰りかえしてこのようなことを行っている先送り体質の会社は価値のない資産ばかり残りゆでガエルのように体力が弱まっていました。現在は企業会計では時価評価が取り入れられて含み益もある程度わかるようになりましたし、減損という形で不良資産については評価損を認識しなくてはなりません。
政府も確かにこのような含み益の出ている資産も国にはあるとは思うのですが、一方では減損しなければならないような不良国有財産もあるのではないかと思います。そういった意味でこのように含み益のある資産だけ切り売りして赤字を埋めるというのは非常に短絡的な手段だと思います。極端にいうと後世に不良資産だけ残していくことになるわけです。一応国有財産については時価に近いものが採用されているようですが記載対象外があったりと企業会計に比べかなりわかりにくいものになっています。まずはこのあたりきちんと見える化してほしいと思います。