東芝不正会計で新日本監査法人が処分

 

EN

今朝、読売新聞で新日本監査法人が処分されるというニュースが載っていました。公認会計士法では①虚偽証明、不当証明に対する懲戒処分と②法令違反に対する懲戒処分があり、記事を読む限りどちらかはっきりとは書いてありません。ただ、②のうち監査業務執行方法違反、業務管理体制整備違反に当たるという考え方もありますが、どちらかというと①で相当の注意を怠ったことによる虚偽証明・不当証明ではないかと想像されます。記事で「不審点への追及不足」が挙げられているからです。

相当の注意を怠ったことによる虚偽証明・不当証明とされた場合、「課徴金(監査報酬の1 倍)+契約の新規の締結に関する業務の停止6 月 +業務改善命令」 又は 「業務停止1 月」が基本となり、個々の事情により過重・軽減されます。業務停止はあまりにもインパクトが大きすぎ、中央青山監査法人の際のようにある程度つぶしても構わないと腹をくくっていない限り行わないと思われます。ということで課徴金(監査報酬の1 倍)+契約の新規の締結に関する業務の停止6 月 +業務改善命令」で多少課徴金や業務停止期間が多少過重されるというのが落としどころではないかと思います。

問題点として挙げられている「内部手続きの形骸化」は昔の大監査法人の部屋制度(力がある代表社員の案件にはあまり他の代表社員が口出しできないような体質)が残存していたという一部の関係者から私が直接聞いた話を裏付けていると思われ改善して欲しいと思います。「不審点の追及不足」はもしかすると単なる担当会計士の力量不足や怠慢かもしれませんが、私は金融庁検査対策として直接監査目的を達成するのに重要でない手続きや書類作りがやたら多くなったということも大きく影響しているのではないかと個人的には思います。後者の方がこの事件でなお一層細かさ煩雑さを増して悪化するのではないかと心配しています。

 

東芝担当の新日本監査法人、処分へ…

読売新聞 11月19日(木)3時6分配信

金融庁は、不適切な会計処理を行っていた東芝を担当していた新日本監査法人に対し、公認会計士法に基づく業務改善命令の処分を行う方針を固めた。
公認会計士・監査審査会が12月下旬にも金融庁に処分勧告を行い、これを受けて金融庁が処分する。
東芝は2009年3月期から14年4~12月期に利益の水増しを行い、不適切会計による税引き前利益の修正額は計2248億円に上った。新日本監査法人はこの間の東芝の決算監査を担当していたが、適正な会計処理と認めていた。
問題の発覚を受け、監査審査会が9月から新日本への立ち入り検査を行い、監査作業の実態を調べていたが、関係者によると、内部手続きの形骸化や不審点への追及不足といった問題が判明したという。