中古マンションー仲介業者に頼らない売買は成功するか
今朝の日本経済新聞でヤフーとソニー系がサイトを開設して、売り手が自分で決めた売却価格で買主を探せるようなサービスを始めるようです。このサービスのかなめが人工知能による「不動産価格推定エンジン」による推定価格の割り出しです。これにより一般の売り手も仲介業者に頼らず相場観がわかるわけです。
これに不動産業界が反発しているのはおそらく両手仲介とよばれる買い手と売り手両方から仲介手数料を取るやり方が現在行われていることがあるかと思います。極端な話をすると仲介業者が見つけてきた買い手から売り手が売却すれば両方から手数料がもらえるので売り手には何とか買い手の言い値で売るよう説得するインセンティブが働きます。したがって、必ずしも売り手の希望する最高額で交渉するというインセンティブが働かないことがあります。
私は法律の専門家ではないですが民法108条に双方代理の禁止「同一の法律行為については、相手方の代理人となり、又は当事者双方の代理人となることはできない。」にあたると感じます。ただし、不動産仲介は買主、売主の代理人として行為を行うのではなく媒介の仲介者にすぎないので双方代理の禁止には当たらないというのが業界の見方のようです。ただ、間に入る仲介が売手や買手の利益よりも自身の仲介手数料の最大化を狙うのでは信用度が問われます。アメリカなどでは両手仲介は禁止な州が多かったと記憶していますし、日本でも一部の仲介会社では両手仲介はやりませんと宣言しているところもあるようですが。
ただ、このような業界の不透明な慣行にメスを入れる意味でこのサイトの開設は業界に一石を投じた意味では価値があることだと思われます。