日立建機のリストラは正しい選択か?

hitachikennki

 

日立建機が早期退職の募集をしました。最近早期退職募集自体は別に珍しいニュースではないですが現状の業績予測だと経常利益が約前年度比14%減の540億であり特に切迫した状況のように数字上はみえません。理由としては新興国における建設機械需要の減少や、資源価格の市況の低迷による鉱山機械の需要低迷があげられ需要の回復が当分見込まれないことが挙げられています。また、競合であるキャタピラーも9月24日に1万人の人員削減を中国建機需要の低迷のため行うと発表しています。

純粋に財務的に言えば、売り上げ低迷期は固定費を少しでもカットして利益に与える悪い影響を最低限に抑える必要があります。そういった意味では需要低迷期には固定費である人件費をカットすべく退職を促し、また需要がもどってくれば新規雇用を行い、一層利益を伸ばすというのは合理的です。このように需要の増加、減少に合わせて人員を調整するのは非常にわかりやすいコストの調整で特に欧米系の大企業では普通に行われます。証券アナリストやファンドなどの機関投資家はこの手のリストラは一般的に好意的に受け止めるようです。

ところがやはり人には忠誠心やモチベーションなど単に数字では測れないものがあります。欧米系グローバル企業では愛社精神がなく、会社自体も重視していないのではないかと思っている方は多いかもしれませんがそんなことはありません。滅私奉公的な考え方はないかもしれませんが、やはり素晴らしい会社であれば普通の日本の会社以上に愛社精神を持っていますし、会社も推奨しています。しかし、やはりこのような景気循環に合わせて人を切ったり採用したりする会社はモラルが下がります。それは欧米系も一緒で実はこのようなタイプの(安易な)景気循環に合わせた人員削減はしないというポリシーを持った会社は欧米系でも少なからずあります。

日立建機の場合、現状の数字からはうかがえない程、この需要の低迷が構造的かつ深刻で単なる景気循環的なものではない非常に長期にわたるものであれば経営判断として正しいかと思われます。一方数年で回復する程度のものであれば近視眼的(悪い意味で)欧米的経営手法と言えるかもしれません。そのあたりは現状の自分の情報では何とも言えません。