事業承継で中小企業をつぶすな
日本経済新聞で「税金考」が連載されていますが、特に今日の事業承継の件は同意する面が多いと言えます。つまり中小企業の社長が子供などに事業を承継する際に未上場自社株譲渡に多額に税金がかかる点です。ざっくりいうと、同業の上場会社の株価と、自社の資産負債を時価評価した時の純資産価額の加重平均で評価して相続の場合などは相続税が課されます。
一応非上場株式の相続税猶予、免除の規定があるのですが従業員の8割を雇用しなければならないとか、株式を一切売却してはならないなどの条件がある上、毎年その条件を満たしているかの届出を出さねばなりません。しかもそれを少しでも満たさなければ猶予は取消、利子税を含めて納付しなければなりませんから税理士は怖くてとても勧めることはできません。
個人的な感想ですが、自分で事業などをやったことのないお役人が机上で考えた案で現場感が全くありません。しかも、非上場株式の評価の方法については財産評価基本通達という「通達」で決まっているわけで、「法律」で決まっているわけではありません。古式ゆかしい「通達」行政がまかりとおっている世界です。これを乗り越えるために持ち株会社や社団法人を作ったり、民事信託を設定したりと余計な知恵を働かせて税務当局と駆け引きしなければなりません。社会的にも全然生産的な活動ではありません。是非このあたりは成長戦略として3つ目の矢の中に含めてほしいものです。