業績予想開示について -開示しないのは後退か?
今朝新聞記事でオムロンが2016年決算の中間期(第2四半期)の業績予測を止めるとして少し話題になりました。伏線としては実は東証の2012年の決算短信ガイドラインで、すでに業績予測の形式などは自由に作成できることになっていました。しかし、企業の決算に立ち会っていると日本企業は特に横並び志向が強く、他社がやっていなければなかなかやろうとはしません。決算関係のアドバイスをしても「業界1位のA社がやっていないようなのでうちはやりません」といったあまりよくわからない理由が社内でまかり通ります。そういった意味では勇気のある選択かと思います。京都の企業は独立自尊の意識が強くていいですね。
そして、やめる理由も単なる開示の後退ではなく短期の予測に左右されたくないという会社としての信念で年間予測は今まで以上に詳細に開示する方針で、きっちりと一本筋が通ったものを感じます。業績予測とその内容の説明は証券アナリストの業績予測にかなり影響を与えますし、その結果株価にも影響を与えるので重要なものとは言えます。ただし、そういった意味ではオムロンは短期の株価の上下にはさほど重きは置かないということなのでしょう。
業績予測は企業内部的には業績管理と密接に結びついています。「予測」としていますが普通の会社では「外部へのコミットメント」ととらえているからです。ただ、業績管理の期間は業種によってかなり異なります。たとえば、小売業などは日次の財務数値の動向は大切だと思いますが、石油探索業などは数年単位の期間で財務数値をみていかないと判断を誤ります。こういった意味で業績予測開示はある程度業種によって異なる開示の仕方でも不思議はないと感じます。