石油会社はなぜ統合する -出光、昭和シェル統合

idemitsu

 

出光興産と昭和シェル石油が経営統合しました。日本経済新聞を読む限り、ロイヤルダッチシェルがとにかく儲からない日本での石油精製・販売事業から撤退したがっていたのが読み取れます。

では出光・昭和シェル側の統合メリットはなんなのでしょうか?記事では一体運営による生産・輸送の効率化が挙げられています。しかし、製油所は閉鎖せず、工場は別々に6か所あるわけですから生産の効率化は限られたレベルかと思われます。輸送費については昭和シェルで約400億、出光で約680億で両者を合わせた際の7兆円を超えるコスト構造から考えるとあまり大きいとは言えません。

製油所も明らかに被らないのは出光の苫小牧製油所くらいで昭和シェルの川崎と出光の市原、昭和シェルの四日市と出光の愛知県知多がなぜ地域的重複がないといえるのか理解に苦しみます。

両者のガソリンスタンド7000は当面ブランドを維持していくと発表していますが、「過当競争」を防ぐためには再編は避けて通れない道だと思います。

多分現状で本音を言うと大騒ぎになってしまうので出さないと思いますが、本丸はブランドを統一して、ガソリンスタンドや精油・備蓄施設の大幅な統合でしょう。その結果生産・輸送の効率化も図れ投資余力も生まれます。「対等の精神」も経済合理性の面で割りきって両者区別なく対等に行うならいいですが、「たすき掛け」や「痛みは対等に」のような「経済合理性を欠く対等」だと、ダメな巨象ができるだけでしょう。