東芝不適正会計の裏側-つるしあげ会議

おわび

 

週末、東芝の不適切会計に伴う損失は1,000億を超えるといった記事が新聞紙上をにぎわせました。それに対し会社側はプレスリリースを発表してそのような確定した事実はないと述べています。意外に新聞の誤報は多いのですがこの手のニュースはわりと確かな筋からのリークが多く、おおむね正しい気がします。

東芝のプレスリリース http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20150704_1.pdf

さて、ほかにこの関連で興味深いのは一種の「つるし上げ会議」の記事でした。定例会議で予算未達だとひたすら事業の責任者が長時間皆の前でつるし上げにあうといった記事でした。これはあくまで想像ですが、予算自体も上意下達でかなり達成が困難な数値目標が与えられ、それが達成できないとひたすら責められるといったことが常態化していたのではないかと思われます。

当然数値目標はストレッチした達成にはある程度努力が必要なものが必要です。しかし、現実から離れた無理な目標を上から与えられれば必然的に下は不正をしても数字だけは創ろうとします。私は、特に大企業でビジネス上の結果はでていないのに「数字だけを創る」作業に大きな労力が割かれていることに悲しい思いを抱いてきました。売上でいえば最初は得意先に必要以上に早く納品を依頼することから始まりますが、どんどんエスカレートして最後は会社側で得意先名義の倉庫まで用意してそこに納入したりが始まります。こうして「数字を創る」レベルから「不正」レベルに徐々に入っていくわけです。一般論ですがたいてい「厳しい」レベルでは不正には走らず「理不尽に厳しい」と不正に走ります。

「つるしあげ会議」が意味のないことは「できなかった理由」をひたすらネチネチと追及することだからです。当然怠慢でやっていなければ追及されてしかるべしですが、おそらく東芝レベルの一流企業の上級管理職ではその可能性は低いと思います。そこをひたすら「できなかった理由」を追求していけばたいてい「XXをやっていなかったからだ」というような結論になりがちです。このような思い付き的な「XXをやるべき」というのはたいてい総花的にやることを増やし経営資源を浪費するだけです。

本来会議の意義は困難な課題に対し皆の英知を集め新たな解決法を見つけることにあります。ひたすら上意下達的に責めて萎縮して嫌な気分になる会議で英知は絶対に浮かびません。残念な会議が不正会計の裏側にあったと言えるでしょう。