日本企業の女性管理職比率はなぜ低い
日本企業の女性比率は11.2%で43.4%の米国や36.1%のフランスに比べ大幅に低いと今朝の日本経済新聞で特集されていました。一方で資生堂で美容部員の働き方改革で育児中でも土日勤務や夜間勤務もはいってもらう働き方改革という、やや育児中の女性に厳しい改革が示されていました。
よく女性管理職が増えない原因に日本企業の長時間労働が挙げられています。ただ、管理職(及び管理職候補)に限って言えば、自分の経験から言って米国企業でも決して労働時間は短くありません。ただ、大きく違うのは長く働くのが目的ではなく、何らかの任務を果たすため必要であれば長い時間働くということです。したがって、別に夜遅くまで働く必要はありません。米国企業での同僚はある日は朝6時前にに会社に来て夜遅くまで働く一方、別のあまり業務がない日などは5時には家に帰ってしまいます。このように一定の成果さえあげていれば働く時間は割に自由です。
一方で日本企業の友人と平日の夜に集まりなどを開くとたいてい2~3日前からのキャンセルが2割程度います。確かに緊急対応で約束をキャンセルということは自分もありましたが、欧米企業勤務だった私は夜に約束があれば繁忙期でない限り通常調整は利きます。上司も約束があると言えばよほどの緊急案件でもない限り無理は言いません。また、繁忙期は集まりを最初から断ります。
女性管理職が増えない一つの大きな原因として保育園やナニー(乳幼児の世話、教育をフルタイムで行う)制度の欠如がありますが、もう一方でプロ意識への尊重の欠如があるような気がします。プロフェッショナルならば自分の仕事の成果にコミットすべきです。そして、その中でどうやって成果を出していくかは自分の裁量に任されるはずです。したがって、どのように時間を使うかはその人の自由で上司もその人のプロ意識を尊重するわけです。残念ながらまだ、日本企業では「忙しい人がいるからお前だけ帰るなよ」的な風土がまだ残っている気はします。一方、資生堂の美容部員の話は社員側のプロ意識の欠如の典型で、忙しい時間帯に同僚に感謝もなく平気で帰ってしまうような既得権益として育児中の短時間勤務制度が機能していることに会社が業を煮やしたということでしょう。(ただ、日本の保育園などのインフラ不足の中でやや過酷な感はあります)
働く側は強いプロ意識をもち、上司もそれを尊重するといういい循環がうまく機能すれば、プロ意識を(潜在的またはすでに)持っている女性も少しは働きやすくなると思われます。ただ、「管理職を増やす」まで考えると保育園などインフラの問題は重い一面と思われます。