不可解な東芝の不適切会計手法
今朝の日本経済新聞に株主総会でCFOの方が説明した不正会計の手法が載っていました。一部おそらく記者の方が会計をよく理解していないための誤りもありますがもともとの会計手法として不思議なものがありました。
費用の先送りの手法ですが確かに販促費、広告宣伝費、商品の仕入れなど商品やサービスを受け取っていたのもかかわらず、費用を計上していなかったということのように想像されます。(記事では支払いを先延ばしにすることによってと書いてありますが支払時期によって費用を繰り延べることはできず誤りと思われます)ただ、東芝レベルの企業であれば支払いは費用の計上など適切な処理をしないとできない仕組みになっています。ベンダーへの支払いもそうやたら遅らせるものではありませんから1年以内には露見します。要するに長年できるような仕組みではないので不思議です。
半導体の製造費については本来、期中は標準原価(平たくいうと事前の見積もり価格)で計算して決算期に実際の原価で洗い替えるというのが処理です。しかし、実際の原価がかさんでしまったので標準原価のままにしたようですが、これも普通はそんな恣意的な経理は難しいですし、監査でほぼばれます。
パソコンでは外部委託先に支給材料を販売した利益を計上していたようですが、そもそも製造委託先への支給材料販売は特殊な事情でもない限り監査法人は認めません。記事にもあるように材料を販売して、もう一度製品になった時点で買い戻すようですが実態的には外注加工にすぎないからです。
必ずしも新聞に書いてあることは正確でないので断言できませんが以上のことが本当ならばほぼ町工場並みの内部統制で、信じられないというのが実感です。金額的重要性があれば一番最初の不可解な費用の繰り延べを除いては会計監査でほぼ解明できる気がします。これで火の粉が監査におよび、また無意味な監査の作業が増えないことを祈りたいですね。