国際会計基準 -なぜ採用が拡大?
今朝の日本経済新聞で国際会計基準適用会社が110社を超えたという話が載っていました。まだ、導入社数では上場企業の3%ですが時価総額や純利益ベースでは3割を超えているようです。要するに大企業での導入が進んでいるようです。ざっくり言って日本とアメリカ以外は国際会計基準ですからグローバルに活躍する企業としては導入するというのは理解できます。
また、導入が進んでいる業界を見ると商社、製薬、食品ですすんでいるようです。グローバル以外の共通点としては買収を積極的に行っている企業ということがいえます。三菱商事(セルマック買収 2014年9月約1500億円)JT(ロジックテクノロジー 買収途中) 武田(ナイコメッド 1兆1千億)など大型買収をくりかえしています。
通常買収をすると日本基準では、(ざっくり言うと)買収価額と被買収企業の帳簿価額の差額を暖簾として認識して20年以内に償却しなくてはなりません。たとえばその差額が1000億として5年で償却すると毎年200億の費用になってしまい、下手をすると利益はすべてふっとんでしまいます。一方国際会計基準では暖簾は認識しますが特に償却の必要性はありません。(ただ、被買収企業の業績が悪いと減損して損失を認識しなければなりませんが)要するに、買収後短期的には日本基準よりも利益をかさ上げする効果があります。
今国際会計基準の委員会ではこののれんの処理について変更を検討して場合によっては償却が俎上に載る可能性もあるようです。今後の動向は興味深いです。
国際会計基準、採用が110社超す キリンHDなど
業種の裾野も広がる
2015/5/20付 日本経済新聞 朝刊
国際会計基準(IFRS)の採用企業がさらに広がってきた。キリンホールディングス(HD)や横浜ゴムなどが新たに準備を進め、導入済みと検討中をあわせた企業は110社を超える。食品や医薬など採用企業の業種の裾野も拡大。各業種で時価総額が上位の主力企業が採用するケースが増えており、上場企業全体の中での存…