武田薬品一時6%安 -会計士的見方

takeda

武田薬品が上場以来初の最終赤字になることが嫌気されて一時株価が6%安になりました。プレスリリースをみると営業利益が1300億の赤字、最終損益が1450億の赤字です。ただし、2700億分は糖尿病治療薬アクトスの副作用問題の和解費用です。これがもし日本基準でしたら特別損失になるので営業利益は1400億の黒字だったはずです。しかし、IFRS(国際会計基準)であるため特別損益という概念はそもそも存在しないので営業利益がそのまま赤字になったわけです。ただ、今までこの訴訟で最終的にどの程度の損害を武田薬品がこうむるかについては今まで開示がされておらず、ある意味株価の上値が重かった面はあります。

本来IFRSでは偶発債務(まだ実際に債務とはなっていないが将来債務になる可能性があるもの)の段階でどの程度の金額になるかを開示しなくてはなりません。ただし、例外事項として開示することにより大きな不利益が生じる場合などは非開示が許容されており(IAS 37.92)、今までその例外を適用していました。したがって、損害金額が不明で投資家で不安視した面はあるかと思います。

私は技術的な面はわからないのでこの和解が正しい判断かコメントを差し控えますが、投資家的には不確実性が大きく減り、本業に集中できるという面ではよかったと思われます。