事業計画におけるCFOの果たす役割

全社的事業計画を作成し、それを予算の形に形づくっていくにあたりCFOは重要な役割をはたします。ただ、皆さんの財務担当役員の方の事業計画において果たす役割に対するイメージはいかがでしょうか?もしかすると営業部門の交際費は何でこんなにかかるとか、旅費交通費が高いとか、ある部門の人数が多すぎるとかなんだか重箱の隅をつつくようなことを言ってきてとにかく事業部門の予算を削ることばかり考えていらっしゃるでしょうか?

 本来事業計画における予算とは戦略に沿って組み立てられるべきものです。したがって、CFOが本来気にしなければならないのは「予算の戦略適合性」です。その結果、事業戦略の中で伸ばそうと思っている分野においてはコストをかけるべきケースもあるでしょうし、そうでない分野はコストを削る、または一切ゼロにするといった判断が必要です。例えば、ある戦略的新製品があれば広告費や販促費、人員を思い切ってかける必要がありますし、逆にもう市場から撤退しようという製品に労力やコストがかかっていればばっさりとカットする必要があります。要するに、「メリハリ」がきちんと効いているか判断するわけです。当然予算には企業でも既得権益的なところがありますからその部分は勇気をもって戦わなければなりません。

 一方で事業戦略に基づき予算をきっちり作ったら悲惨な業績の結果しかできなかったらどうするのでしょうか?その場合は事業戦略自体を見直すか、1年くらいの悪い業績であれば耐え忍んで将来の成長に賭けるか考えなければなりません。間違っても非現実的な売上の増加やコストの減少を予算に織り込むべきではありません。「エクセル上の魔術師」になってはいけないわけです。このあたりの厳しい判断を経営陣に問いかけ、自分もその一員として考えていく、そのようなところはCFOの仕事のだいご味といえるでしょう。