個人事業主と法人どっちが得?
目次
1.開業相談でよく聞かれること
東京地方は春先で気温の変化が激しくて朝は比較的ひんやりしているのですが、昼はぽかぽか、また夕方くらいから冷え込んでくるという感じでなんとなく体がつらいです。皆様もいかがお過ごしでしょうか?
さて、新年度なのか「令和」が近いせいなの開業の相談を最近よく受けます。そこで多い質問の一つに「法人で始めたほうがいいですか?それとも個人で始めたほうがいいですか?」というものがあります。一般的なお答えとしては「小さく始めて大きく育てる」が良いとおもうので個人事業主から始めることをお勧めしています。よく、税金は法人と個人どちらが得ですかとも聞かれるのですが、創業時はほぼ99%の方は税金なんて気にせず、とりあえず売上を上げて利益をっだせる体制になってほしいと通常答えしています。税金は売上上げて利益が出て初めて考えればよいと税理士ながら思います。ただし、例外はいくつかあります。
2.一般的に法人を設立したほうが良いタイプ
最初から大きな夢を持ち適当に資金もある方は個人事業主のステージなどはすぐに卒業するでしょうからさっさと法人をゼロから立ち上げたほうがスムースです。多分それでも最初の一年くらいは個人事業主である方が多少税金は得になる可能性は高いとは思われますが、このタイプの方は最初はチアチマとした節税などは考えずにビジネスに集中してほしいものです。うまく軌道に乗ってそれから税金のことを考えるでかまわないと思います。ただし、一方(別に宣伝ではないですが)このタイプは最初から顧問税理士は付けて大きな落とし穴にははまらないように見てもらったほうがよいと思います。資金繰りと多少税金の落とし穴はあるのでそこは見てもらった方が良いかと思います。ここでは詳細に述べませんが、例えば大きな投資をする場合はその投資にかかる消費税の還付の問題が生じますのでこのあたりは税理士に相談する必要あります。
もう一つは法人、それも上場企業レベルを顧客に持ちたい場合です。誰でも知っているような著名人は別かもしれませんが、基本的に法人であることは取引の信用として最低条件になっています。したがって、法人設立は必要です。たまに合同会社の方が設立費用が安いので(ざっくり株式会社30万、合同会社15万です)、そうしたいという方いらっしゃいます。海外の親会社がある節税会社などを除けば、「設立費用を節約した小さな会社です」と言っているようなものですから、このような法人を相手にしたいのでしたら株式会社の設立費用は必要経費と割り切ったほうが良いと思います。
3.税金上法人を設立したほうが良いタイプ
所得(売上から経費、控除を引いた金額)が330万を超えたあたりが所得税率税率が20%になり中小企業の法人税率15%(ただし所得800万まで)考え始めるころといえるかと思います。ただし、個人の申告であれば税理士雇わなくても十分可能だと思いますが、法人を設立すると通常税理士を雇わないといけません。社会保険も加入義務が出てきますし結構面倒です。法人設立をしていただくと顧問も増えて自分としては良いのですが、この程度だとお客様にとっては手間と顧問料を考えるとたいして得にはならず、どちらかというと個人事業主のままをお勧めしています(2.の一般的に法人を設立したほうが良いタイプを除く)。
一方、中にはコンサル業など無形のサービスを売る業種があります。この場合一般的には計上する経費がほとんどないですから、ある程度売上が上がっていればそれがそもまますべて利益(所得)になってしまいます。この場合最大の経費は社長の報酬となり、かつ社長の報酬に給与所得控除という経費が使えるので、ある程度計算できる顧客先などあれば最初から法人にするというのはありです。このケースは税金目的ですから相手が上場企業レベルでもなければ合同会社でも構わないわけです。
4.なぜ年商1000万を超えたら法人にしたほうが良いか?
一般的に言われる年商1000万を超えたら法人設立はなぜなのでしょうか?これは消費税の問題があるかと思われます。現在売上1000万以下であれば免税事業者として消費税の納付義務はありません。しかし1000万超だとその翌々年から消費税の納付義務が生じます。例えば消費税の簡易課税を選択してその他のサービス業だと1000万を超えると(計算の都合上1000万とすると)1000 x8%x50%=40万の消費税納付義務が生じます。しかし、翌々年までに法人を設立すると、設立の年と翌年は消費税の納付義務は一般的に生じません(例外はあり)。このあたりが法人設立の理由かと思われます。ただし、税務当局側もこの免税事業者の穴はふさごうと考えていますのであまり長くはもたない手法かもしれませんね。
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