志(理念)を忘れた起業家・ベンチャー

やや偉そうな題名ではじまりましたが、ついつい人間目先の利益や売上に目が行き志(理念)を忘れてしまうものです。私も夢と実行力のある起業家(ベンチャー)を支援して皆が生き生きとして働ける世の中を創りだすことに貢献するということを忘れないようにしたいと思っております。

 志(理念)を忘れたというか、もしかすると、もとからなかったのではないかと思うのがコインチェックの問題です。580億円ものお金が不正に引き出されてしまった事件は皆様の記憶に新しいかと思います。これで「仮想通貨」たたきにはしるマスコミ等の姿勢も苦々しく思いますが、本来私は仮想通貨は安全に便利に資金決済ができ、政情の不安定さ(たとえば財政破たん国のハイパーインフレとか)による損害回避など重要なインフラだと思っています。そして仮想通貨取引所はそれを支える重要な存在だと思っています。したがって、理想としては仮想通貨取引所運営会社は「社会の新しいインフラを創りだして世の中に貢献する」といった志を持ってほしいと願っています。

 しかし、現実の仮想通貨取引所のビジネスモデルを見ると社会のインフラというよりも時代劇に出てくる丁半バクチをやる「賭場(手慰みどころ)」に似ています。参加者はほとんど投機家で内容は株のような理論はあまりない丁半バクチに近いものですし、この取引所は高額のテラ銭(取引に伴う取引手数料)で儲けています。また時代劇で親分(貸元)や代貸(ナンバー2です)がたまにバクチに参加して儲かっている旦那衆からお金を巻き上げるように取引所自体反対売買をしてここでも儲けています。当然素人に対してプロが相手ですからかなうわけはありません。ただ、時代劇をみると賭場は賭場荒しに備え怖いお兄さんや腕の立つ用心棒を雇って旦那衆が安心して遊べるようにしていたようですが、現代の賭場は「セキュリティ」という現代の用心棒代をケチッて見事賭場荒しに金を持っていかれてしまったようです。

「社会の新しいインフラを創りだして世の中に貢献する」まで高尚でなくともせめて「旦那衆が安心して遊べる」レベルまでも達していないのは非常に残念なことだと思われます。ただ、人間は弱くついつい目先の売上や競争相手との競争に勝つということに目が向きがちで初心を忘れがちです。我々も他山の石としたいですね。