事業の代替わりはうまくいくか?
事業承継、いわゆる会社の親から子供の代替わりが、なかなかうまくいかず廃業する会社が増えています。今開業率は3.5%程度なのに対し廃業率は6.3%と上回っており、どんどん企業の数が減少しています。健全な新陳代謝ならば良いのすが、素晴らしい技術を持った企業が後継者がいないため廃業する例も多いとききます。その中でやはり相続税等の問題も一部その原因と考えられているようです。簡単に言うと代替わりと言うことは親の所有する株式が子供に相続等で移転するわけですが、その株式自体はどこか外部に売却できるものでもないのに税務当局が決めた計算方式で価額をつけられて多額の相続税等を納めなければならないことがあります。
それを改善しようと事業承継税制というものが創設されたのですが、私は恐ろしくてよほどでないと顧客には勧められないものになっています。そもそもあくまでも「猶予」であって取消要件に引っかかれば猶予取消で納税しなくてはなりません。主な取消要件は5年間以内に従業員数8割未満、社長は5年間以内に辞職、5年以内対象株式の売却、5年間経産局・税務当局への毎年の報告を怠るなどがあります。この流れの速い時代相続後5年もたてば事業が傾くこともあり、従業員を減らしてリストラすると猶予された相続税を支払わねばならないという恐ろしいことになります。また、経産局・税務当局への毎年の報告を怠ると猶予取消になるというのも税理士としては(プロとして当然気を付けるべきと言われても)おっかなくて仕方がありません。しかもこれだけリスクを負っても実質的な負担は約半分に減るだけです。
さすが政府もまずいと思ったのか見直しを考えているようです。この中で従業員数の維持の要件ははずし、猶予額も8割程度まで引きあげるようです。ただ、これも「雇用計画など一定の条件をつけて・・・」などとあるのが曲者で、私はかなり面倒な書類や報告義務などが課せられるのではないかと憂慮しています。確かに制度が変わるとそれを利用して税逃れ的な仕組みを考える人間が出てきます。ある程度それを防止するため手立てをするのは必要だと思いますが、そのために本来の意図である円滑な事業承継が出来ないようでは本末転倒です。そのあたりは税務当局は抜け道を事前に塞ぐように複雑な仕組みにするのではなく、アンテナを張って税逃れ的な手段には素早く手当するような対応をしてほしいと思います。
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