Jフロントが総資産利益率を重視した理由
先日の日本経済新聞でJ・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店で店長の評価指標に総資産利益率(ROA)を導入するということがニュースとしてあがっていました。ROAは利益を総資産で割って求めますが、この指標では営業利益を用いています。企業レベルでは経常利益を使うので少し他社と比べてみます。
JフロントのROAは4.3% ROEは6.8%、三越伊勢丹はROAは.21% ROEは2.6%高島屋はROAは3.8% ROEは5.1%で財務内容的にはJフロントが一番優れています。ROAは売上高経常利益率(経常利益÷売上高)x総資産回転率(売上高÷総資産)に分解されます。ちなみにROEは売上高純利益率(純利益÷売上)x総資産回転率(売上高÷総資産)x財務レバレッジ(総資産÷純資産)です。ざっくり説明するとROAは売上高利益率を使うので利益率が高く、総資産回転率を使うので資産を効率的に使って売上を生み出せば数字が良くなります。ROEの場合はそれに加えて財務レバレッジが高くなる、つまり資本を効率的に使う、または資金調達を株式ではなく借入金を使う、自社株買いをして純資産を減らすことで数字が良くなります。
この店長の評価指標でROAを使うことの意味は単に利益率だけではなく資産を有効活用してまたは不要資産を減らすことが狙いと思われます。Jフロントの過去の数字を見ていくと総資産経常利益率を分解した数値で売上高経常利益率は3.5%,3.5%,4.1%,4.0%と上昇傾向ですが、総資産回転率はずっと1.14と安定していたのが今期1.06と低下しました。主として総資産が310億昨年より増加したのが原因ですがこれも約600億の土地購入と60億の渋谷パルコ立替の再開発事業に伴う販売用不動産の増加を建物・構築物の減少480億があったものであまり店舗の営業活動の問題ではなさそうです。土地購入の600億については有価証券報告書からはその内訳は読み解くことができずやや不明です。ただし、有価証券報告書を読むと渋谷の再開発や銀座SIXなどどちらかというと不動産開発事業に少し力を入れていく傾向が読み取れます。そういった意味でROAを重視していく方向性に入っていくのかと想像します。
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