株主総会の思い出
株主総会シーズンがやってきました。新聞紙上でもここ3~4日の間に株主総会が集中していると毎年批判的記事が載ります。ただ、自分の経験だと決算日後3か月以内の開催ということなので安全に落ち度なくやろうと思うと期限ぎりぎりの6月末になってしまうというのが実感で別に重ねることによってうるさい株主をできる限り排除しようといった意図があるわけではありませんでした。この時期になってしまうことの理由に株主総会招集通知を郵送することがあります。郵送なのでそれなりにリードタイムがかかる上、やれる業者が日本ではほぼ数社に限定されるため、それに拍車をかけることとなります。また、会社法に基づく計算書類が有価証券報告書と様式が微妙に違うため組み換えなどの作業が必要になり、かつ監査も必要なため時間が要する原因となっています。分散開催を目指したいのならば3か月の縛りをなくし、計算書類の有価証券報告書との共通化を目指してほしいものです。
招集通知をメールで送ることも可能なのですがそのためには個々の株主に承諾を得なければならず、全面メールは難しいと思われます。加えて株主総会でヒヤヒヤなのは株主総会の決議に必要な定足数(最小限度の出席数)が集まるかで、多分定款で3分の1を定足数と定めている上場企業が多いとは思いますが、これが集まるかで総務の担当者は気をもむことになります。さらに新聞でも取り上げられているように以前は賛成に丸を付けてくれる株主がほとんどだったのですが、最近は取締役の選任などでも反対票を入れる株主が多くなってきていますし、機関投資家も議決権の行使状況に対し開示を行うようになってくるので昔のように賛成票を自動的に入れることはほぼ完全になくなるでしょう。
私は以前上場会社の役員とCFO(管理本部長)を兼務していましたので株主総会運営の責任者の立場にありました。作業はほとんど部署のスタッフが行うので、想定質問に自分として備えるといったことぐらいしかやることはないのですが、招集通知の内容は定型化しているとはいっても大きな誤りなどあったら大変ですのでチェック等には神経を使います。頭はつかわないが神経を使う仕事だといえるでしょう。総会当日は出席者で多いのは年配の方です。そして軽食とかお土産を出すことにすると出席者が2倍になります。以前総会で軽食でサンドウィッチを出したのですが、あまりおいしくなかったらしく掲示板に多く書かれていたのは株主総会やそのあとの説明会の内容ではなく、サンドウィッチがパサパサしてあまりおいしくなかったという不満でした。いつも株主総会が始まる前は大事な数字は頭に入れて明快に答えられるように準備するのですが、そういった質問があった記憶はありません。多いのは年配の方で株価が低迷していることへの不満を永遠に述べる方、持論の経営論(といってもこうやれば株価が上がるはずだといったようなもの)をとうとうと述べる方などで、結局質問は何なのかよくわからないケースが多かったです。そのような場合は「貴重なご意見ありがとうございました」で締めくくってしまいます。ただし、意外に不満はあっても温かい目で見てくださる方が多い印象はありました。
今考えても年に1回株主と会社経営陣が出会う場ということでは意義はあるとは思うのですが不思議な儀式だなというのが正直な感想です。そして終了した後は対して何もしていないし、ほとんど話もしていないのですが、何もしたくないくらい疲れているのに気づきます。最近は賛成票を投じない株主も多くより緊張したものになりつつあるのかもしれません。
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