起業家から見る大学の効用
今、大学の無償化が話題になっています。教育国債などを使って大学までの教育を無償化しようという案がその一つです。少子化対策としてということですが、因果関係が不明です。確かに私にとっても子供の教育費、特に大学の学費は頭の痛い問題ではありますが、だからと言って子供をつくるのを止めようと思ったことはありません。確かにいまだ家庭の事情で本当は大学に行きたいのに行けない方々が皆無とは言えませんが、それは奨学金等の利便性を高めて個別に対応すべきで大学の無償化で巨額の税金をつぎ込むものではないと思います。ただ、ここでは国の財政問題ではなく、非常に個人的な視点から起業家という面で大学の効用をみて行きたいと思います。
私もさまざまな職種の起業家とお付き合いしています。あまり大学名を気にすることはないのですが、自分の印象としては大卒かどうか、大卒でも一流大学卒かそれ以下のランクかであまり成功の度合いが変わる印象はありません。一流大学卒で成功されている方の印象はどちらかというと着実にまじめにやるべきことを一つ一つこなして成功している感があります。一方そうでない成功者はとにかく発想がユニークで思い付きのようなことでいろいろ試し、失敗しながらも成長していきます。前者では大学で真面目に調査・研究をやっていた経験が役に立っているような気がしますが、後者の方にとっては少なくとも今の日本の定型的な高等教育は時間の無駄のような気がします。
一方、今度は経営者として成功している方に従業員のことを聞くと上記のタイプに係らず言うことはほぼ一緒です。「例外はあるがやはり一流大学のやつの方が明らかに使える」です。現代の教育は「言われたことをきっちりやる」ことには非常に適しているようです。日本の教育は「言われて事をきっちりやる」人間を育てることには成功したと思いますが、とにかく好奇心旺盛でどんどん新しいことを創りだすユニークな人たちは我慢ができない単なる勉強できない落ちこぼれと遇している気がします。そうやって本来伸びるはずの芽を摘まれ腐ってしまった方も少なくないのではないかと思われます。当然、「言われたことをきっちりやる」サラリーマンタイプもまだまだ世の中では必要ですが、AIが判断できる未来は、こういったユニークな人たちをどうやって増やし腐らせないようにするかを真剣に考えることが日本の教育の質として最も大切なことなのではないでしょうか?
ちなみに私は着実にまじめにやる「つまらないタイプ」ですが、ユニークタイプは失敗も多いのでせっかくうまくいっているのに脇が甘く致命的な失敗で倒産となることもあります。そういった意味で、ユニークタイプは経営の補佐役として「つまらないタイプ」を持っておくことをお勧めします。経営にはアクセルだけでなくブレーキ的なものも必要ですから。逆にコツコツ型はさまざまなフレームワークを使うことをお勧めします。私たちが提唱している7種22分類のビジネスモデル発想法などはお役にたてるかもしれません。
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