社外取締役の報酬は低すぎるか?
日本経済新聞で社外取締役の報酬が低すぎるという記事が載っていました。参画の度合いや責任に対して十分な報酬を受け取っていないのではないかとし、日本企業の社外取締役の報酬年額は平均は669万円で米国企業に比べ4分の1だと述べています。その原因としては年報酬100~499万が全体の38%と中堅以下の企業の報酬が安く設定されいるのが大きな要因とされています。年100万以下の企業も5%程度あったというのはさすが驚きましたが。
以前、弁護士の社外役員(監査役含む)をされている方対象に不正会計の講師をやらせていただいたことがありました。中堅レベルの会社の社外役員の方が多かったのですが、その際悩みとして挙げられていたのが事前資料の問題でした。取締役会の事前にきちんと討議内容についての資料が送られていればいい方で、当日になって初めて渡されて説明を受けるといった企業もありました。事前に送られてきて前日など直前の場合も多くあまり目を通す時間がないとのことでした。
このような状況であれば使う時間も限られており社外取締役本人も真面目な方は悩まれると思いますが、少なくとも報酬が安いとは感じないと思われます。「報酬を上げる→社外取締役を含めてのきちんとした討議ができる」というベクトルよりも「社外取締役を含めてのきちんと討議する体制を構築する→社外取締役にきちんと時間とってもらう→労力、時間に合わせた適切な報酬を設定する」というベクトルの方が健全かと思います。社外取締役の報酬が低いと取締役会が形骸化するではなく、取締役会が形骸化しているから社外取締役の報酬が低いという因果関係かと思います。
そろそろ社外取締役の数などよりも例えば討議事前資料の準備度など実質的な取り組み、体制についての議論を深める時期になってきているのではないかと思われます。
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