森永製菓と乳業の統合破綻
森永乳業と森永製菓が経営統合を白紙に戻したという記事が今朝の日経に載っていました。記事の論評は大型再編が続く世界の状況で出遅れた、好業績で危機感が薄く合理化を拒んだと非常にネガティブな論調です。世界の食品の統合として米クラフトとハインツの経営統合、日本では明治製菓と乳業の統合で明治ホールディングスが生まれています。
私の持論ですが、基本的に対等な合併や統合は成功しません。この森永製菓の幹部の発言にあるように「エネルギーを合理化などの内部に使うのは時期として良いものなのか」というのは確かに危機感の薄さは感じますが納得できるところはあります。世界のグローバル企業では合理化を進めながら成長するなどというのは当たり前のことで合理化しているから成長に力が注げないというのは一般的には理解できません。しかし、対等に統合すると、必ず元自社のやり方に固執する有力者が出てきて必ずもめます。そして内部のパワーゲームなどでかなりエネルギーを消費してしまいます。したがってこの幹部の言うことは理解できるわけです。
統合や合併などでは必ずどちらかが主導権を握らないとうまくいきません。企業の理念などは主導権を握った方に合わせてもらい合わない人材は去ってもらうくらいで良いと思います。しかし、それ以外は別に主導権を握った方に合わせる必要はありません。主導権を握った方のリーダー(一般的には社長)がお互いの意見を聞いて合理的な判断で素早く決めていけばいいわけです。このあたり一流米国企業のリーダーは凄くて平気で被合併会社の仕組みに大部分が乗ってしまったりこのあたりは柔軟です。このあたりのスピード感と切れ味がある日本人の経営者というのは少なくて、日本企業が合併・統合しても民主党のようなまとまらない弱者連合になってしまう例が多い理由の一つだと思われます。
そういった意味で主導権を握れるほどパワーのある経営者がいない中での統合を選ばなかった森永製菓と乳業の選択は残念ながら正解と言わざるを得ないかと思います。
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