残業規制で本当に働き方は変わるか?

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経団連と連合が残業時間の制限についての話がされています。そこでは残業時間の上限とインターバル制を法律に明記する方向で話がまとまりそうです。自分の会社員時代をまず振り返ると残業代を請求していたのは20代だけで外資系企業に入社後はホワイトカラーエグゼンプション(WH)が現実的には適用されていたのでいくら働いても残業代はゼロでした。したがって、月間の残業上限を月45時間にする、月100時間にするといわれてもあまりピンときません。ただ、振り返ってみると忙しい時は月100時間を超える残業程度働いていましたし、暇な際は多分せいぜい20~30時間程度だった思われます。

WH法案について「残業代ゼロ法案」「過労死推奨法案」などと言っていますが別にWHを導入したからと言って残業が際限なく増えて恒常化するとは思えません。ただし、ブラック企業を除けば企業の経営陣が冷徹な経済合理性を持っているかどうかにかかっています。私は欧米系企業で働いていましたがほぼ長時間労働を強いられたことはありませんでした。別に従業員に優しいわけでなくその一方でプロダクティビティ(生産性)重視で「短い時間で最大の成果をあげろ」と常にプレッシャーをかけられていました。生産性を重視すれば経営側は従業員の成果を享受できますし、従業員も余暇を満喫できるので両方ともに利益があるわけです。

ブラック企業の経済合理性は安い賃金で従業員を酷使して疲弊したら辞めてもらって、新たな従業員に取り換えるといった人手が余っている時代のビジネスモデルで、(倫理的に許されるかは別にして)ある一定の経済合理性はありました。しかし、一般的なホワイトカラー的な職場で例えば電通のように過労死自殺が出るような仕事の仕方はそもそも経済合理性に反しています。その裏に無理な受注や無理な顧客サービスなど経済合理性に反したビジネスの姿勢があったと思われます。実は欧米系企業でも自分の部下を酷使する酷い上司がいないわけではないのですが、そのような部署は部下がどんどん辞めていきますから人事上バッテンが付きます。

実はつまるところ経営者、経営陣がある程度の経済合理性をしっかり認識していればWHを導入で無駄な残業は劇的に減ると思われます。しかし、これはあくまで「経済合理性を判断できるまともな経営者、経営陣の存在」が前提であり、これがない単なる「昭和的拡大・根性主義の経営陣」であれば確かに「過労死推奨法案」になる可能性は高いかもしれません

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