好調な大東建託とアパート建設ブームの不都合な真実
今日の日本経済新聞でアパート建設・不動産管理の大東建託の業績好調が伝えられています。4~12月の経常利益が1000億を超えた模様です。この要因の一つとしてはフローとストックをうまく組み合わせた巧みなビジネスモデルにあると思います。フローの部分はアパート建設で正式に発表されている第2四半期累積でこの部分で2951億の売上に454億の営業利益、ストックの部分は一括借り上げによる賃貸運営でその部分で3826億の売上に138億の営業利益と両方のビジネスがあります。賃貸運営についても借り上げに伴う家賃収入もありますが、営繕や家賃保証など幅広くキャッシュポイントを設けているところが巧みです。
業績の好調については新聞紙上などでも言われているように相続税対策によるアパート建設は大きな要因であると思われます。特に遊休土地を持っている地主さんの場合アパートを建てると土地の評価額は50%以下には普通下がり、建物部分は借入金と相殺されますので実質的に評価はゼロになります。アパートは大東建託などの業者が一括借り上げしてくれます。アパートオーナーは収益物件ができて相続税が安くなる、建設業者は建築とサブリース業で儲かる、銀行は貸付利息が入るで三方両得に見えます。しかし、リスクの配分を見ると明らかにオーナー>銀行>アパート建設・運営業者です。アパート建設業者はほぼ確実に銀行借り入れで入金してもらいますし、サブリースで賃貸収入のさやは抜けます。銀行は担保があるのでほぼ回収は確実です。しかし、一括借り上げといってもアパートは古くなってくると当然賃料は下げなくてはならないですし、改修費など支出が増えます。将来キャッシュフローに一番安定性がないのは実はアパートオーナーです。
アパート建築の主な担い手はいわゆる経営者ではなく一般の地主さんです。どこまでこの不都合な真実を知ってアパートを建設しているのでしょうか?別にアパート建設が間違っているとは申し上げませんが目先の相続税の節税におどらされると痛い目に合うと思います。私の税理士の立場としては少なくとも目先だけの安易な節税を勧めることは慎まないといけないと思います。
相続等のお問い合わせは↓まで