なぜ欧米企業は時短ができるかの冷たい現実

残業

働き方改革にむけて春季交渉に向けて経団連で指針が出たようです。その中では時短を推進し残業代の減少を基本給で補う、配偶者手当を廃止してその分を子育て世代へに支援に回すなどです。別に間違った方向とは思いませんが根本的な改善にはならないだろうというのが実感です。

主としてホワイトカラーの仕事ですが、そもそも補助的な事務(たとえば秘書業務や総務的な仕事)を除いて欧米企業はほとんどいわゆるホワイトカラーエグゼンプション、ざっくりいうと年棒制で残業なしの形態です。したがって、残業代を稼ぐために残業しますといった誘因は全く働きません。その結果、はっきりと二つの層に分かれてしまします。ある程度決まった範囲をきっちりやるだけで昇進・高報酬をあきらめるか、どんどん挑戦して昇進・高報酬をめざすかです。前者は時間的にはゆとりがある生活ができますが、後者ははっきり言って生産性も高いうえに長時間労働も当たり前です。当然前者の方が多数ですから全体としてみると欧米企業の方が長時間労働していないように見えます。ただ、前者の場合ゆとりはありますが年功序列で給与が上がるようなことはないですから夫婦共働きでやっと生活が成り立つといった感じです。ですから女性の方もパートとかではなく男性と同等に働いていますし、働かないと成り立ちません。それもあって男女差別などがあったら世の中成り立たないわけです。

もう一つのポイントですが、欧米系の場合は業績が悪くなった際、業績不振部門を売り払ったり、レイオフすることは日本と比べると容易です。日本企業の場合、業績が悪くなったと言って簡単に解雇できませんから好況で忙しくなっても残業で乗り切るという面があります。一方、欧米系の場合は特に決まったことしかやらない層は原則残業しないので増員しないとそもそも経営が成り立ちません。個人的には安易に好不況で解雇、採用を繰り返すのは企業経営のやり方として賛成できず欧米系でもそのようなことはしない会社はありますが。

まとめると、欧米系時短を目指すならばにはホワイトカラーエグゼンプションの導入、年功序列賃金の廃止、解雇規制の緩和の3点セットが必要なことになります。残念ですが、短い時間で生活に余裕ができるほど給与がもらえ一生安泰で働けるみたいな美味しい現実は世界中どこにもないということです。

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