佐川急便の配送員が荷物を投げた理由 -人手不足と宅配業界
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。正月三が日の東京地方はうららかな暖かい日で気持ちの良い三が日でした。
日本経済新聞で新年から「断絶を超えて」という連載記事が載っています。この中で少子化による労働力供給の「断絶」が取り上げられています。15~64歳の生産年齢人口は1995年の8726万をピークに約1000万人減ったと述べています。この影響がたとえば、ハウス食品などの食品メーカーでトラックの運転手が確保できず納期に配達できない事態が続出しました。特に物流関係で身近に感じるのは宅配便で、最近遅配や雑な配送などが話題になっています。年末は佐川急便の配送員が荷物を叩きつけている姿がユーチューブにアップされ話題になりました。
私自身に起こったことですが、本来宅配で送られてくるはずの荷物が事務所の郵便ポストに投げ込まれている事態が起こりました。これは私が事務所を不在にしている際、ドアの中に不在票が入っていたのですが電話したところ荷物が行方不明でした。いろいろ調べた結果、どうやら郵便ポストの中に押し込まれていた書類は実は直接手渡しすべき荷物であったようです。また、別の運送会社ですが購入した書籍は不在票の電話番号にかけても誰もでず、指定した時間にWebで指定してもその時間に配達してくれず、再配達の不在票がそれから数日後ちょうど昼ごはんで事務所を離れていた全然関係のない時間にまた入っていました。年末年始はさんでいたこともありますが本は10日くらいたってもまだ手元には届きません。また、私の老親は頼んだおせち料理が配達されたのが夜10時近くだったと正月会った早々、かなり文句を言っていました。ちなみにこれはちょうど宅配便大手3社にばらけており特定の企業の体質の問題ではなく業界に内包する問題と言えるのではないでしょうか。
非常に宅配は便利ですがネット通販の普及で人手不足がかなり深刻になっているように推測されます。例えば業界最大手のヤマト運輸の売上はここ数年増収が続き1兆4千万に前期に達していますが、経常利益は670~700億のあたりでずっと行き来しており、増収分はほぼコスト増で埋め合わされており(まずまずの利益はあげていますが)利益なき繁忙といった傾向がみられます。おそらく佐川急便の荷物を投げた社員も、それ自体は許されない行為ですが配達する荷物は多い、不在も多いでかなり頭に来てしまったのでしょう。今後どのような傾向になっていくのでしょうか?
荷物の仕分けなどはおそらくテクノロジーの進化でかなり省力化は可能だと思いますが、やはり届ける部分はドローンで運んだとしてもインターフォンを鳴らしたり、不在票を置いていくのはおそらく難しく人手に頼らなくてはなりません。宅配便が例ですが日本も人手不足でサービスに対して適切なコストを負担するというのが必要になってくるのではないでしょうか?例えばアマゾンで配送料無料が主流となっていますがその配送コストはだれが負担するのでしょうか?現状はアマゾンが負担していますが、その部分はかなり安い配送料ということで運送会社が請け負う結果になっています。以前アマゾンの配送が佐川急便からヤマト運輸に移ったのですがこれは安い配送料に佐川急便が撤退したとネットメディア等で見た記憶があります。配送というサービスを受けているのは我々ですから本来は我々が負担しなければなりません(個人的には配送料有料は確かに避けたいとはおもいますが・・・)。宅配便の配送員の方で一番困るのは再配送で一定の割合で配送希望時間に不在な場合があるようです。これも本来希望時間にいないための再配送なのでそのコストは消費者側が負担すべきなのでしょう。
ちなみにアメリカなどは一般的にはサービスは粗雑で宅配の新聞などは平気で地面に置いてありますし、頼んだものが時間通りに来ればラッキーな感じです。しかし、一方それなりのお金を払えば同じ国とは思えないくらい素晴らしいサービスに出会えます。 宅配便が例なのですが日本はよく言えば「おもてなし精神」でサービスに対して適正な対価を払う習慣がなかったのですが、人手不足によりだんだんとコストに見合う対価を支払わなければならない時代が近づいてきたのではないかと思われます。
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