NTTデータが統合費用で特別損失 -悪いニュースか?
日本経済新聞にNTTデータは先日ほぼ買収手続きを終えた米デルのITサービス部門で社内システムやブランドの統合費用として100億円前後の特別損失がかかると載っていました。プレスリリースもないままこのような情報がマスコミに漏れていいのか、11月4日の決算短信でなぜ全く触れていないのかなど多少突っ込みどころはありますが、この時点できちんと統合計画が固まっているのはまずまずのスピード感だと思います。
投資家目線でいうと買収価額やのれんがどの程度になるかなどが焦点となりますが経営者目線でいうと大切なのは統合になります。特にこのM&Aは旧ペローグループの事業で北米で顧客網を一気に獲得するというものです。私は営業が一件一件顧客を獲得するのに対してM&Aで投網で掬うように顧客を獲得する「営業タイプ(Sales Type)」M&Aと思っています。自分の事業の中に取り込む統合なのでPMI(買収後統合)は非常に大切なプロセスになります。システム、人事、その他ノウハウなど統合についてはできるだけスムースな統合も大切なのですが、スピードはより重要です。統合プロセスの過程はある程度の混乱は不可避なのでこの期間をできるだけ短くして収益や従業員の人心に与える影響を最小限にするのです。特に従業員は「大きな変化自体の不安」よりもどんな変化が将来起こるかわからないといった「どんな変化かわからない不安」の方が確実に心を蝕みます。
日本企業の場合相手の経営陣とゆっくり話し合って徐々に統合を進めるといったアプローチをとる企業も少なくはないですが、このような「営業タイプ(sales type)」は特にトップダウンで一気にPMIを素早く進めるのが成功の一つの秘訣と思われます。私が以前勤務していたGEではデューデリジェンスの終了時にはほぼどのようにPMIを進めるか青写真は完成していました。NTTデータのスピード感については細かい買収経過の内部事情を知らないのではっきりとは言えませんが、まずまずのスピード感で進めているのかと想像されます。
スピード感を持って行うためにはいわゆる資産やリスクの査定といった会計事務所や弁護事務所でのデューデリジェも大切ですがPMIをにらんだビジネスデューデリを会社側がおこなう必要があります。PMIについては現在も何社か手がけておりますが本来のビジネスデューデリが不足しているために後手に回っているケースがおおいです。価格算定と交渉に目が行きビジネスデューデリをほとんど行っていない企業も多く、そのころからアドバイスさせていただければ随分スピード感がでてくるのにと私などの現場サイドでは感じています。
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