株式は相続税で冷遇されているか
今朝の日本経済新聞で金融庁が上場株式の相続税の評価方法の見直しを税制改正の要望事項に盛り込んでいると載っていました。相続税はざっくりいうと被相続人(亡くなった人)の総財産評価額から一定の控除をした残りの金額に税率をかけて算出します。この総財産評価額において不動産などは時価よりも安めに評価され株式にはそのような特典がなく冷遇されているため、貯蓄から投資への動きが悪い一つの要因となっているというのが金融庁の主張です。そのため株式の評価額は90%を乗じた値にしようというのが要望です。
私も相続税の依頼を受けた際、株式の場合は通常相続時(亡くなった日)の最終株価で評価するところを相続時以前3か月の毎日の終値の平均のうち一番低い月のものを適用するぐらいしか打つ手がありません。一方不動産の場合は土地の相続税評価額は公示価格の80%程度、建物も固定資産評価額なので時価の50%~70%程度だと思っています。また、居住地や事業用の土地だとそこから80%、アパートなど貸家だと50%評価減が(多少条件はありますが)できます。このあたり確かに不動産と比べると冷遇されている感はあります。しかし、株式が特に冷遇されているというよりも生活やビジネスの根本でもあるため不動産が優遇されているといった方が強いと思います。
確かに怖いのは相続時に高かった株価がいざ税金を納める際にリーマンショックなどで暴落していると処分にも困ることで下手をすると税金が払えないことになりかねません。こういった暴落対策としてはできるだけ相続税の計算については早めに税理士に相談して資金繰りは早めに手当てしておくことが一番でしょう。また、基本的に株式、金、不動産などバランスよく保有し、株式もある程度の分散投資をしておくことがポイントでありどちらかというときちんとした財産形成プランがあればさほどこの相続時の株式評価方法は問題にならないとは思います。
個人的には、株式は値動きの速いものですから10%程度の控除は不動産とのバランス上あってもいいかなとは思います。しかし、税務当局としてはその部分は前述した3か月の一番低い平均値という部分でカバーしているというロジックを挙げてくるでしょう。政治家が熱意をもってかなり後押しをしないと実現は難しいかもしれません。
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