がっかりした働き方改革
政府の「働き方改革実現会議」で初会合が開かれ「非正規雇用の処遇改善」「時間外労働の上限規制のあり方」「外国人労働者の受けいれ」などが話し合われることになったようです。ただし、企業側から要請のあった「解雇規制の緩和」ははずれ、日本経済新聞などでは批判的に書いています。
いわゆる企業側の事情による解雇に関しては従前の判例から整理解雇の4原則があり、(人員整理の合理性、解雇回避義務の履行、被解雇者選定の合理性、手続きの妥当性)私の感覚だと裁判所は非常に企業側に厳しく当てはめている感が強いです。少し極端に解釈すると倒産間近で非正規は全部解雇して役員従業員の給与をギリギリまで下げて、優秀な人もそうでない人も十羽ひとからげで、ずいぶん前から従業員に説明をしないと企業側から解雇できません。
そもそも時間外労働の多い原因として解雇規制が厳しいため逆に企業は雇用に対し慎重で、業務が拡大してもなかなか増員はしないからだという意見があります。仕事が忙しくなっても人員増よりも残業増で対処しようということです。残業はどちらかというと36協定で残業時間の上限が高いという形式的な問題ではなく、名ばかり管理職やサービス残業などの方が根が深い問題ですらこれも解決していません。要するに整合性が取れていないので本来的な長時間労働の是正は実現しないでしょう。
労働者としての心配は解雇規制が緩和されると安易な解雇が多くなるのではということです。確かに欧米企業では業績が少しでも悪くなると解雇して、よくなると増員するといった企業はあります。短期的な株式市場の視点に迎合していると思いますが、一方で従業員を大切だと考え短期的な業績変動による安易な解雇は行わない企業も少なからずあります。やはり同じ人間ですから安易な解雇をする会社の従業員は会社に愛着を持ちません。中長期的にはそのような会社は淘汰されてしまいます。私の意見としてはある程度解雇規制は緩和して、少なくとも現在のようなきわめて硬直的な状態からは変えていく必要があると思います。最初は確かに失業者が増えるなど最初は副作用があるかもしれません。しかし、解雇規制が厳しくないということは逆に雇いやすいという面もありますから最終的には収束していくと思います。長期的には解雇を安易にするダメな企業は淘汰されて従業員を大切にする会社だけが生き残ります。少し楽観的すぎる考え方だと私も認めますが、少なくとも現状の長時間労働やサービス残業が横行している自体よりよくなると思います。
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