中小企業の事業承継の税負担を軽く
経産省が2017年度の税制改正で世代交代する中小企業への支援策を要望すると日経に掲載されていました。現在中小企業の悩みとして代替わりでオーナー社長から経営権(株式)を引き継ぐといったん譲渡したようにみなされて死亡の場合は相続税、それ以外の場合は贈与税が課されてしまいます。実際株式を引きついだ人は株式売却代金が実際に手元にあるわけではないので四苦八苦するわけです。この会社が万年赤字会社で株式価値がないならば問題はないのですが業績が良ければ良いほど売却想定株価が高くなってしまい見かけの利益にかかる高い税金で経営が傾くリスクが高いという事になります。
そこで経産省が中心に事業承継税制(非上場株式の相続税および贈与税の納税猶予および免除の特例)が設けられています。以下ざっくり(表現が厳密でない部分はご容赦ください)説明します。これを適用すると生前に贈与で100%、相続だと80%の税金が猶予されます。一見良さそうに見えるのですがリスクが高く私は怖くて使えないですし、同業者でも使ったという声を聞いたことがありません。一番ネックになるのが継続雇用条項で贈与(相続)後5年間の平均で80%以上の雇用を確保せねばならないうえに5年間継続届出書を提出しでその後は3年ごとに提出しなくてはなりません。この条件が満たされない場合いきなり贈与(相続)税と利子税の納付が必要です。
確かに社会的な意義として雇用の確保は大切だと思うのですが構造転換などによって従業員が減少することはありますし、零細の3K職場であれば辞めた人の後、採用できずに平均8割を割ることがあるかもしれません。また、継続届出書も永遠に出さなければならず、忘れた場合の損害賠償責任は税理士側にかかってくるのでよほど確実でないかぎり誰もやりたくないでしょう。XX対策をしていますよと政府はよく言うのですが結局骨抜きにされてとても普通は利用できないような制度になっている好例だとおもいます。
まともに使える条件としては雇用継続要件と継続届出書の撤廃でしょう。前者は経営側が後者は税理士側に大きなリスクが出てしまいます。まともに使えるようにするためにはこの2つの撤廃が必須でしょう。雇用の確保要件を5割くらいに下げようと検討しているようですがそのような小出しの調整はほぼ役に立たないと思います。
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