執行役員制度は廃止すべきか?
日本経済新聞で執行役員制度を廃止する企業が増えていると載っていました。企業統治改革が叫ばれている中でこの制度の矛盾が出てきたからだと解説していました。代表例はLIXILで名ばかり役員が減って風通しがよくなったとのことです。そもそも執行役員制度とは企業の重要な施策の意思決定をする取締役会とその施策を執行する責任者である執行役員を分離してきちんと責任の分担をしたスピードの速い経営を行おうというところに意味があります。ところが日本の大企業の場合やたらと執行役員を増やしてしまい、酷い例だと専務執行役員、常務執行役員、上席執行役員、執行役員と4種類もあり、さらに酷い場合4人が同じ事業本部にいるといったこともあったようです。
ただ、これからもわかるように問題点は執行役員制度そのものではなく、その権限のあいまいさにあるということです。執行役員は業務執行の責任者なので同じ部署に何人も必要ないはずなのにポスト不足でどんどんと増殖させてしまったところに根本的な問題があります。実はある執行役員制度を導入していない大企業でお仕事させていた際にある部署に持株会社と事業会社(事業会社がほぼグループの大半の収益をあげていました)が同居し、専務取締役、常務取締役、取締役、部長と4人いらっしゃっいました。その結果、少しでも大きなことを決めようとすると副部長も含め5人の承認が必要で結構物事がなかなか進まなかった記憶があります。
確かに功労のあった優秀な方の処遇に悩まれる企業は多いとは思うのですが、意思決定のラインの明確化とシンプル化が図られていれば特にどのような制度を入れるかはさほど変わりないような気がします。中堅企業くらいでもどんどんあいまいな管理職が増殖しがちなので処遇と意思決定のラインは峻別して行う必要があると思われます。
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