ARM買収における孫社長の凄味はどこか?

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しばらく海外出張にいっており更新は久しぶりになります。その間にソフトバンクのARMの買収がありました。いろいろな記事を読むと約3兆3千億円という日本企業による最大の買収の金額的妥当性、数週間で決断した決断力やIoT関連のソフトバンクとの相乗効果に注目が集まっています。確かにスピード感と大胆さは感嘆するのですが、大型買収自体は別に他の日本企業でも最近は増えてきています。私は別の面に着目しています。

実は私が注目しているのはその前のフィンランドのスーパーセル、ガンホーの売却です。スーパーセルは2013年に購入したばかりですし、ガンホーは実弟が創業した会社です。昨日何社かすでに上場させているベンチャー企業の社長さんとローカルラジオ局の収録でご一緒させていただいたのですが、その中で日本企業のM&Aにおいて問題点は実は売却の方であるということが話題になりました。ありがちなのは自身の事業との相乗効果が薄れてきたのに、業績が良いためなんとなく保有しているうちに売り時を逃したのと、もう赤字のタレ流し状態だが先代社長の虎の子の事業だからなどしがらみで売却できず、ただ同然で手放すか清算せざるをえなくなるというパターンです。売却時のタイミングとしては東芝の東芝メディカルの売却のように経営が行き詰って仕方なくというパターンが多く、このケースはたまたま良い値で売却できましたが普通は買いたたかれて厳しい結果となります。売り手有利なうちに売却できれば従業員の雇用を守るような条項も入れることも可能ですが、苦境のケースだと確実に足元を見られます。酷いケースだと赤字部門は最初から整理前提という買収もあります。従業員の雇用を守ると称して保有していますが結果は悲惨なわけです。

その点で孫社長は自分なりの優先順位をしっかり持って、不要だと思った会社はさっさと売却してしまいます。孫社長の必要・不要の判断自体が正しいかは私にはわかりませんが、きちんと判断しそれに基づき施策を実行することは必須だと思います。どちらかというと「捨てる決断」が弱い日本企業は多いのではないでしょうか?

来週は少しお休みをいただきます。更新は2回くらいだと思います。

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