リンガーハットの減益を読み解く
今朝の日本経済新聞でリンガーハットが23%減益という記事が載っていました。見出しを読むと人件費上昇が響くと書いてありましたが本当でしょうか?決算短信を見てみました。純利益が72百万減少しているため減益と書かれているのですが実はそのうち52百万は店舗閉鎖に伴う減損と引当金です。営業利益は14百万減少で確かに売上が4.2%伸びている中で2.2%前年比で減少していますから人件費が上昇したのかもしれませんが決算短信からは読み取れません。おそらくリンガハットのIRか経理の方に取材をして書かれたのではないかと思います。ただしセグメント別利益をみるとリンガーハット(ちゃんぽん)の営業利益が388百万から514百万に増加しているのに対し、とんかつの浜勝が206百万から115百万に大幅減少しています。つまり、人件費上昇の影響が営業減益の要因であれば2つのセグメントともに営業利益が減少するはずですが、セグメントごとにこのようにデコボコができています。
財務数値から見ると減益の大きな要因はとんかつ部門の不振がちゃんぽん部門の足をひっぱっているのではないかと想像されます。担当者としては「とんかつ部門の不振」と記事に書かれるのは嫌だったのかもしれません。記事では熊本大地震の影響による一時休業の影響による既存店売上高の影響も書かれていましたがとんかつ店だけ影響が出るのは不思議です。ただ、とんかつ店のフランチャイズ売上が減少しているのでもしかすると九州地盤の大きいとんかつのフランチャイジーがあるのかもしれませんが。
まとめると、必ずしも財務数字を見る限り減益の要因は本来のものと異なるものである可能性が高く新聞記事は本来の現状を反映していないかもしれないということです。結構新聞記事は財務分析などで裏を取らずに、企業の担当者の発言をそのまま記事にしているケースもあるので注意が必要です。本当に怒っていることよりも企業側の意向が反映されてしまうわけです。きちんと生の数字を見ないと企業の業績については見誤る恐れがあるわけです。手前味噌ですが専門家に数値を見てもらうというのはそれなりに意味があるわけです。
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