アローラ氏の退任と後継者選びの難しさ

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ソフトバンクで孫氏の後継者とみなされていたアローラ氏が退任することになりました。理由はもともと孫氏が60歳程度で社長職を禅譲するつもりがかなり先になるので退任することになったと発表されています。ネットなどでは裏の理由についていろいろと書かれているようですが、私はこの件に関し事情通でもないので触れないこととします。

基本的には創業者の次世代へのバトンタッチが非常に難しい一つの例だと思います。特に世襲でない場合はハードルが高く、ファーストリテイリングの柳井さんや、日本電産の永守さんでさえあまりうまくいかず、しいて言えばうまくいったのは京セラの稲盛さんぐらいではないでしょうか。やはり創業者は事業に対する愛着がありなかなか手放せないものです。これは中小企業の世襲の場合でさえも往々にしてあることで、私も親がなかなか権力を手放さないと嘆く2代目後継者の方にお会いしたことが何回かあります。内部の事情はよくわかりませんが、アローラ氏の件は比較的短期的に孫氏が思い付きスカウトしたような感があります。やはり後継者の問題は数年をかけてじっくり取り組むべきものであり、そういった意味でもともと後継プランが弱いものであったのではないでしょうか。

ソフトバンクはM&Aを核として拡大してきたコングロマリット系の会社なので社長は事業のポートフォリオ管理が必要になります。ただ、事業会社の場合はM&Aの後の運営の方が大事ですから、いわゆる投資銀行家的な側面と事業家的な側面を2つ持たなければなりません。しかし、こういったM&Aの得意なGE出身の藤森氏がLIXILでうまくいかなかったように、グローバルレベルで行うというと難易度が非常に高く日本人で運営可能な方はほとんど存在しない気がし、世界で見てもきわめて少ないと思います。現状のグループを手堅く運営できる能力の方は今のソフトバンクでも十分いらっしゃると思いますが、孫氏のやっていたようなM&Aをやって運営をして立て直して、適宜ポートフォリオを入れ替えていくような路線は現経営陣では孫氏なしではできないような気がします。

2~3年のスパンでは孫氏続投は悪い影響はないかもしれませんが、優秀な後継者候補を逃したということでは長期的には暗い影を落としそうです。規模感が違うと感じるかもしれませんが多くの中小企業の経営者なども参考になる事例だと思います。

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