任意の指名委員会と経産省
経産省が任意設置の指名委員会について社長人事の選考過程を透明化するための指針を作ると発表しました。現状会社法に基づく指名委員会はメンバーの条件として「全員取締役で半数社外取締役」、「開示義務あり」「決定に法的拘束力あり」と決まっていますが、任意の指名委員会は特に法的拘束力がなく、あくまで助言にとどまる点です。
セブンアイグループ内の社長人事を巡っては任意の指名委員会の役割というものが評価された面が多いと思われますが、逆にセコムの件では社長解任が誰が構成員かわからない指名委員会の中で不透明な内容のまま決定されたと言われ、この制度の不透明さが認識された気がします。ただし、セコムの場合も指名報酬委員会についてはメンバー5名のうち社外取締役2名が含まれている旨が同社のコーポレートガバナンスコードに記されており、その議論には社外取締役が加わっていたと推測されます。どちらかというとこの問題は社長解任の理由が不透明であることが大きな理由ではないかと思われます。余談ですがこの理由が全くリーク等も含めて漏れてこないのでさすがセコムのセキュリティは素晴らしいという皮肉な声があったくらいです。メンバーに非開示についてはマスコミの取材攻勢により中途半端に内容がリークされる恐れが理由としてよく挙げられますが、上場企業の役員であれば情報の開示に当たっては非常に慎重な姿勢が求められると思います。
任意の指名委員会については会社法に縛られない中で自社に適したガバナンスのあり方を探求したいという意図であれば賛成です。そのためには一定の透明性が必要で構成メンバーや意思決定までの過程は開示の必要性はあるのではないでしょうか?そう言った意味でこの任意の指名委員会運営で指針が出るのは賛成ですが、「なぜ経産省?」というのがわかりません。金融庁や経産省や東証でこの手の指針やコードが乱立するのは企業側としては非常にやりにくいです。本来上場企業については法令で定めるべきものは金融庁、それ以外の指針は東証で出してほしいと思うのですがいかがでしょうか?
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