パナマ文書問題で注目したいこと
パナマ文書が全世界を揺るがしています。ご存じとは思いますが、タックスヘイブン(租税回避地)にペーパーカンパニを設立する業務に特化していたパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から顧客データがもれました。問題になっているのはその顧客たちがタックスヘイブンにペーパーカンパニーを設立し、自国の税金を不当に逃れていたのではないかというものです。
日本人の名前は400人程度あるようですがほとんどまだ公開されていません。もしかすると今後政治家などの有名人の名前が出てくるかもしれません。ただし、注意していただきたいのは名前が出てくるイコール脱税ではないということです。今の日本の税制では日本の居住者は海外所得も申告する必要があるということと、海外財産(5000万以上)についても国外財産調書で報告する必要があるということです。またタックルヘイブンにあるペーパーカンパニーの留保所得(簡単にいうとため込んだ利益)は雑所得としてこれも申告しなければなりません。このあたりきちんとしていれば全く合法です。しかし、細かくは述べませんが当然さまざまなペーパーカンパニーを組み合わせて税法の網の目をくぐっているからこそ、そこに作る意味があるので脱税はしていないとしても租税回避は一般的には行われているでしょう。
租税回避と脱税の違いは前者は脱税とは違い違法行為ではないということです。税法が予想しない(あまり経済合理性がない)形態で税の負担を免れるものです。立法府の住人である国家議員や実質的に立法に関与している高級官僚などは自分が租税回避を行うのは許されないと思いますが、その他の私人は(私は個人的に租税回避行為は好きではないですが)許容の範囲内です。まちがってもネットや週刊誌で暴露されてさらし者になるような息苦しい社会にはしたくありません。財産を様々な工夫をして増やす(または保つ)自由は担保されていたいものです。
一方、国税当局はこのあたり政治家も含め公正に調査して脱税に対しては厳しく対応してほしいものだと思います。租税回避については仕方ないとは思いますが明らかに不合理なものは税法改正などで地道に穴をふさいでほしいと思います。
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