新年初頭のあいさつで -法令順守?

第八回

 

今朝の日本経済新聞を読んでいたところ今年の大企業の新年初頭のあいさつのキーワードは「革新」「海外」「法令順守」だったようです。「法令順守」は昨年の東芝、くい打ち、免震装置など不祥事が多発したことにあるのではないかと思われます。ただ、確かに三菱ケミカルの社長さんがおっしゃていたように「社員ひとりひとりが誠実に行動」する必要はあるとは思いますがやや違和感があります。全ての不祥事に共通していると思うのはその根源は個人というより会社の体質にあると思うからです。

例えば東洋ゴムの免震装置は一見一部の社員の問題のように見えますが、根源にあるのは企業全体の利益至上主義です。加えて隠蔽体質により問題がなかなか顕在化しないところに問題が大きくなった原因がありました。くい打ち問題も利益至上主義で下請けにコストと納期でかなり無理な要求をしていたことが根本にありますし、東芝問題も見かけの利益至上主義に先送り体質が加わったものと言えるでしょう。利益至上主義といった会社の体質により社員の心がどんどん荒廃していくと麻痺してしまい不正を生み出す源泉になります。当然利益は企業の血液のようなもので非常に大切なものだと思うのですが経営者がそれを超える企業の存在意義を持っていないと社員の心が荒廃がしやすくなります。

今は、GAPやNIKEが下請けの児童労働で不買運動が起きたように取引先を含めた共存共栄と法令、モラルの順守が求められる時代です。そういった意味では経営者がしっかりとした理念を持ってそれを社内に浸透させる努力をすることがより重要になってくると思われます。大企業で社員数も膨大だと誰かが不正をすることはあると思いますが、理念が末端まで浸透している会社は火が小さいうちにすぐ消し止めることができるはずだと思います。