味の素のアニュアルレポートを読んでみました

味の素

味の素が今年の日本IR協会から「IR大賞」ということで表彰されました。授賞理由としては「2015年に就任した西井孝明社長が積極的なIRを継続し、投資家との対話を経営に活かしている点や、IR部門の説明や資料が理解しやすいと定評がある点が挙げられる。企業価値の源泉である概念「ASV(=Ajinomoto Group Shared Value)」と経営戦略に一貫性を持たせた説明を行った点が評価された。」ということです。

さっそくアニュアルレポートを拝見させていただきました。どこが通常の企業のアニュアルレポートと違うかを考えてみると、いくつかポイントがありますが大きな違いは業績や将来展望の羅列ではなくストーリー性があることだと思いました。企業の理念(存在理由、価値観)とビジョンを明確に定めそこから経営方針、戦略と一気通貫で非常に理解しやすい形で書かれています。ESG(環境、社会的責任、ガバナンス)についても羅列的でなく統合した形で記載されており、統合報告の流れに乗っているというのが良い点だと思われます。

往々にしてこの手の資料はIR室や経営企画部などが割り振りをして各部署に投げてまとめるといった手法をとっているという企業が多いかと思います。おそらく味の素の場合は単にまとめたのではなく、各部署の方が集まり経営陣も含めて侃々諤々の議論をおこなったということが読んで感じられます。きちんと企業の魂がこもっているかどうかは意外に読み手はわかるものです。