残念な税制大綱
来年度の税制大綱が決まりました。大きな目玉は法人税減税と消費税の食料品全般への軽減税率適用です。軽減税率適用は売り手となる事業者への手間など社会的コストが高い割には効果が薄い、どちらかというとポピュリズムの典型で非常に残念です。第一生命経済研究所の推計によると日本の世帯年収の平均である年収550万円の世帯の年間負担軽減額は1.3万円にすぎないようです。日本の財政の将来を考えるとそのくらい負担すべきではないでしょうか?日本で年間1万円程度支出が増えて困窮する人は非常に限られると思います。その一方の事業者側の手間や投資、一方で増加する可能性のある益税などの社会的損失の方が大きな気がします。
もう一つの柱である法人税減税は約2%の減税でついに30%を割るようです。一方で赤字企業にも外形標準課税の増税でその財源は確保するようです。ただ、外形標準課税については資本金1億円以下の企業については適用されず、実は中小企業とは言えない企業もその中には紛れ込んでいます。資本金1億でといった基準で区分けするのが適切なのかは今後の議論として重要だと思います。
一時、話題になりながらも立ち消えになったのは配偶者控除など所得税の改正でしょう。軽減税率のドタバタで議論がわきに追いやられてしまったのは残念です。会社員の夫と専業主婦といった世帯像が崩れて行っている中、現状の配偶者控除の仕組みは矛盾が多いと思われます。しかし、これは社会保険料の130万円の壁と一緒に論じてほしいです。
よく新聞紙上などで点数付けが行われていますが自分のこの税制改正の点数は50点です。法人税の減税はなされましたが、「庶民の生活を守る」といった感情的な議論が先行して、将来に禍根を残すような軽減税率が残ったこと、所得税の見直しが行われなかったことからかなり自分の点数は低いです。