マツキヨの不正会計で思うこと

matsukiyo

 

決算発表の時期ということもあり、毎日のように地味にではありますが不正会計による財務諸表訂正の記事が載っています。東芝問題で不正会計はクローズアップされましたが逆にこの問題が大きすぎるためあまり大した話題にもならずいいチャンスかもしれません。

以前はこのような不正があった際はその影響額を直近の財務諸表で修正すればいいだけだったのですが、平成23年に過年度遡及会計が導入されてからは、不正で改ざんした過去からさかのぼってすべて財務諸表を修正して提出し直さなければなりません。私も仕事としてお手伝いしたことはありますが、会社の方々は何週間下手をすると数か月、土日もなくひたすら修正手続きをしていてお気の毒でした。

さて、マツキヨホールディングスの報告書を読むと比較的単純な在庫の水増しのようです。売上原価は期首在庫+期中仕入-期末在庫ですから期末在庫を大きくすると必然的に売上原価が減り利益がでます。ただ、当期の期末在庫は翌期には期首在庫になりますからまた翌期も在庫を水増しして・・・とだんだん雪だるまのように増えていく可能性があります。これを防ぐのは実地棚卸で経理部など他部署が実際に在庫数を確認すれば水増しはばれてしまいます。どうやらこの案件の場合、実地棚卸をこの子会社では行っていたのですがその結果のチェックを誰もやっていなかったので水増しなどやりたい放題だったようです。

報告書を読むとこの子会社の規模が小さく重要性が乏しいため内部統制の手続きを踏まなかったと記載されています。確かに金融商品取引法上の内部統制の評価の範囲には入っていませんが、別にやらないことを推奨しているわけではありません。内部統制というのは確かに緊急性が低いので見過ごされ気味ですが問題が生じると大きな損害を会社に与えます。法令で定められたからやるというよりも企業のリスク管理として重要だから行うのが内部統制の手続きです。なんとなく、法令に定められたことさえやっていればと、やたらと押印のチェックや書類を残すばかりなどをやるような「仏作って魂入れず」の内部統制ではなく実際のリスク管理として考えてほしいものです。