保証協会の代位弁済制度見直し
今朝の日経で経済産業省が中小企業の融資が焦げ付いた場合に国が肩代わりする信用保証制度を見直すという記事が載っていました。現在は原則8割負担ですが約230業種程度全額保障の業種があります。それを業種も絞りベンチャーなど創業まもない企業を除き5~7割に下げるようです。
中小企業庁が発表した資料を見ると昨年度で5000億円の代位弁済をしており、これが保証料収入を上回っているので財政補てんが数千億円の単位で発生しているようです。全額保証の際は金融機関が業績の悪くなった先の自行貸付分を保証協会分に借り換えさせるなどの事例などのモラルハザードが発生していました。そのため、8割負担に変えたのですがリーマンショックの結果全額負担業種先を増やしていました。景気回復してかつ財政事業が厳しい中、見直しが図られたのだと思われます。
中小企業庁が金融機関別代位弁済率を発表していますが、やはり金融機関でかなり差があります。昨年度をみるとメガバンクでも東京三菱UFJ 銀行は1.4%(不良債権比率1.16%)ですが三井住友銀行は2.3%(不良債権比率1.08%)と大きく開きがあります。カッコ内は保証協会付きではない一般貸付債権の不良債権比率でその比率は2行でほとんど変わらないですから、三井住友銀行の場合は保証協会付きの審査は甘くなっているという見方ができるかもしれません。したがって、やはりこのような金融機関の姿勢を正す意味でも保証率の引き下げはやむを得ないものと思われます。
一方これによって中小企業は資金の借り入れで苦しまむかということですが全国銀行協会の預貸率は70%を割っている状況です。どちらかというとまともな業績であれば貸したい金融機関が多い状況です。紺状況で借り入れができない企業が退出を図られるのはマクロ的にはやむを得ないものはあるかと思います。ただし、天災などによる影響など一時的かつミクロ的な救済は必要だと思われます。