役員報酬‐法人税優遇?

経済産業省が2016年税制改正の要望で役員報酬について法人税の改正を出すようです。実は以前外国人のプロ経営者を雇う場合の足かせになっているとブログで申し上げたことがあります。新聞記事では法人税「優遇」と書かれていますが、「優遇」という表現には違和感があります。

役員報酬は法人税法34条に定めていますが「役員給与の損金不算入」という項目で、立てつけとしては役員給与は損金不算入(つまり税額を計算するときの経費として認められない)であるが①定期同額②期首にあらかじめボーナスを決める③利益に連動するの3要件の場合損金として特別に認める形になっています。当然事業に費消した経費は損金算入されるのが当たり前で、今まで不当に税を課されていたと考えれば「優遇」という表現には違和感があります。不利だったものが普通になっただけです。曲者は③の「利益連動」で要するに会社の利益に機械的に連動する一律なもののみであり、本人のその利益に関する貢献度などには関係なく一律支給しなければ損金算入になりません。本来利益連動はインセンティブですから貢献度を加味しなければ意味がなく、この規定は企業経営の視点が全く抜け落ちているものだといわざるをえません。個人的な感想として役員報酬としてきちんと利益を出している会社のきちんと貢献している役員(たとえばトヨタの役員)などの役員報酬平均が9000万弱というのは安すぎると思います。

一方でオーナー系同族企業などで役員の報酬を利益調整に使う(たとえば今期は利益がいっぱい出て法人税を払うのが嫌だから役員報酬で利益下げよう!)ケースを税務当局は主張しているようですが、役員報酬に対する所得税の推進課税の中で十分カバーできそうです。なんとなく、日本の税務当局は税法を恣意的に運用できる余地を残しておきたいというような願望があるのではないかと感じるのは私だけでしょうか?