石山GWHの架空販売ーまだあったこの手の会社
石山GWHの元社長らが架空販売で自社株を売り抜け逮捕されました。昨年の段階ですでに証券取引等監視委員会の強制捜査が行われ12月に第3者委員会の報告が出ています。非常に長い報告書で細かくは読んでいませんが骨子としては社長の三木氏の完全なワンマン経営でほぼガバナンスも内部統制も働いていない状態であったことが明らかにされています。この取引についても様々な関係会社や架空と思われる法人を経由したものでお金の流れと言い、不自然な取引であることが一目瞭然で綿密に偽装するために練られたものであることはよくわかります。
2000年前半のITバブルのころにはこの石山GWHのような事業として何をやっているかわからない不思議な会社が新興市場に上場していました。石山GWHのHPをみても資金調達や事業提携を支援するなどと書かれていて、会社概要はメーカー事業、トラベル、アパレルなど何の脈らくもない事業が並んでいて怪しいです。このような怪しい上場企業には大抵フロント系の投資家が入り込み新株や新株予約権の発行を繰り返し、そのお金を社外に流失させたり、提灯IRで株価を上げて売り抜けたりとやりたい放題でした。
随分、このような新興市場の信用を著しく失墜させるような企業は退出したと思っていたのですが、まだまだあるのは健全なベンチャーの発展のためにも本当に残念です。この件に関しては監査法人の責任は非常に重いと言えます。この取引は明らかに不自然ですが第3者委員会の報告を見る限り表面的に決められた手続きを行ったに過ぎないようにみられます。当然不自然かつ重要性のある取引については追加の監査手続きを行いかなり綿密な監査を行うのは当たり前です。また、内部統制が働いていないのも明らかなようでJ SOXの監査がおざなりであったことは明らかです。
会計士として非常に悔しく残念な事件でした。