KFCの減損発表 -監査法人との攻防か?

ピザハット

マクドナルドの不振ぶりがニュースをにぎわしていましたがKFCも以下のように5億円の赤字となりました。ただ、多少異例に感じたのが決算発表の日に599百万円(そのうちピザハット481百万)の減損損失を発表し、業績予測との差異が出たと発表しています。ふつう減損の発表というのは決算と同時に突然発表されるものではなく、たいていは事前に行われます。なぜなら、監査法人から減損の認識が必要な可能性が高いということはかなり前から申し渡されるはずだからです。

多少乱暴目に、ここでの「減損損失」を説明すると主としてピザハット部門の赤字体質が続いていると判断されるのでその部門の固定資産は価値がないだろうということでその固定資産を評価減するものです。

少し専門的な説明としては資産グループ(ここではピザハットが主)の営業活動から生じる営業利益(またはキャッシュフロー)が継続的にマイナス・またはマイナスになる見込みである場合には減損の兆候となります。そして、将来の割引前キャッシュフローの総額が資産価額を下回る場合減損を認識します。

ピザハット部門の営業損益をみると平成25年△2百万、平成26年△36百万、平成27年△1164百万と推移しており少なくとも「減損の兆候」があったことは明らかだと思われます。加えて27年の第二四半期短信でもすでに△641百万の損失を計上しており、表面的な数字だけで見る限り減損損失の計上の必要性は高いと思われます。

以下は単なる憶測ですが・・・・

考えられることとしては会社側はこのピザハットの不振は今年が底で来年からは上昇に転ずると考え、監査法人側にも理解を求めていたことがあるでしょう。しかし、監査法人側はその具体性が乏しいと判断し、その攻防が決算発表のぎりぎりまで続いていた、何かそんな気配を感じます。KFCのCFOの方も、監査法人の代表社員の方も胃が痛くなるような駆け引きがあったのかなぁと想像してしまいます。

 

朝日新聞 4月25日デジタルより

日本ケンタッキー・フライド・チキンが24日発表した2015年3月期の純損益は5億円の赤字(前期は4億円の黒字)だった。純損失は鳥インフルエンザが響いた04年11月期以来。競争が激しいピザ事業が振るわず、関連資産の評価を引き下げた。円安に伴い小麦粉など輸入食材が高騰したことも響いた。

売上高は前期比1・4%増の846億円、営業利益は63・2%減の6億円。ピザ関連などの資産の評価引き下げで5億円の特別損失を出したことが、純損失につながった。

「ピザハット」のブランドで展開しているピザ事業では、持ち帰りの客も増やそうと半額キャンペーンやテレビCMを強化したが、既存店の売上高は前年比で0・5%減った。

ケンタッキー事業は既存店売上高が3・1%増と堅調だったが、ピザ事業の不振を補えなかった。