税務署はここまで見ている!「オンライン照会制度」

目次
1.税務調査シーズンまもなく到来
7月は税務署の人事異動のシーズンです。税務職員も広い意味ではサラリーマンなので人事異動は気にかかりますし、直前は落ち着きません。3月までは確定申告もありますし、年の前半は税務調査としてはローシーズンとなります。
しかし、7月の人事異動で新しい部署に配属されたら、さぁ実績をあげようと調査にも気合が入るのは人情としてわかります。というわけで配属されてからいろいろと準備を行い、9月から年内が税務調査のハイシーズンになるわけです。
そして、事前準備としてAIなどを駆使して調査予定者のピックアップとその事前調査を行い始めます。その一環としてオンライン照会制度があるといえます
最近、税務調査の現場で注目されているのが「税務署によるオンライン照会制度」です。簡単に言えば、税務署が「あなたの帳簿や実態が正しいかどうか」を調査の前にオンラインで事前に裏付け確認してくる時代が本格化してきた、ということです。今までは紙ベースの照会や金融機関に実地で行くなどかなり手間と時間がかかりましたが、これがオンライン化されて税務署にとってはお手軽になってきました。
したがって、「うちは小さいから関係ないでしょ」「売上も少ないし、まさか来ないよ」残念ながら、その油断こそが一番危ないかもしれません。今回は、小さな事業者ほど知っておきたい「税務署の照会制度」と、ごまかしのない記帳と申告がいかに重要かを、お話しします。
2.税務署はここまで見ている!「オンライン照会制度」
税務署は今、税務調査の前段階でさまざまな情報を「外部から」入手できるようになっています。たとえば:
- 金融機関(銀行やクレジット会社、決済代行業者―PayPayなど)への照会
- 仕入先・販売先への売上確認と質問(資料センや反面調査)
特に金融機関はオンラインで迅速に行える体制が整備されました。それで不審な点があればいわゆる反面調査が、仕入先・販売先に行われます。つまり、調査官があなたの帳簿を確認する前に、もう「裏取り」が始まっているのです。
かつては「現金商売ならバレにくい」と思われていましたが、今は電子マネーや金融機関(銀行、証券会社、クレジットカード)の履歴は簡単に追跡され調査の際、会計帳簿との不整合があれば徹底的に追及されます。つまり、「帳簿に書いていない=存在しない」ではなく、「帳簿にないデータがある=虚偽の申告」と判断されるわけです
ではこういったオンライン照会の時代に、あなたがすべきことは何でしょうか?
3. あなたを守るために行うべきこと
① 現金も電子決済も、すべて正確に記帳する
「現金売上だけ省く」といったことは、非常に危険です。電子決済とのバランスや、仕入・外注費との整合性で、すぐに“異常値”として浮き上がります。
② 請求書・領収書などのエビデンスを残す
帳簿と現実の取引が一致しているかを問われたとき、証拠となるのが「請求書・領収書・振込記録・LINEやメールのやり取り」です。まじめにやっている方の場合はこういったエビデンスがあれば仮に税務署員が不当な課税をしてきたとしても身を守る大事な盾となります。クラウド会計を使う場合も、証憑のデジタル保存を忘れずにやってください。
③ 自分で判断せず、専門家に相談する
「この取引、記帳しなくてもいいかな?」そんな迷いが出たときほど、専門家の判断が大切です。“グレーゾーン”は調査官にとって“赤信号”です。
では、調査が入るのはどんな会社(人)なのでしょうか?これは「悪質な人」よりまずは「目立った人」です。
実は、税務調査は完全ランダムではなくAIなどを使った抽出が行われているようです。その際の要件としては
- 売上が急に伸びた
- そこそこ儲かっているように見えるのに赤字が何年も続いている
- 他の業者から照会で違和感が出た
……といった「目立つ」動きがある人ほど、対象になりやすいのです。
つまり、「悪意がない」「ちょっとだけ」でも、調査対象になる可能性は十分あります。
まとめると結局「ごまかさない」ことが、最大の防御といえます
税務署のオンライン照会制度によって、今や「見えていないはずの情報」がどんどん税務署に集まる時代になりました。そんな中で、あなたの事業を守る唯一の方法は結論としては月並みで申し訳ないのですが、「日々の帳簿を正しくつけること」「正しく申告すること」*です。
そして、それはただ税金を払うためではなく、
・堂々とビジネスをするため
・融資や助成金で信用を得るため
・万一のトラブルにも備えるため
という、経営者としての武器になります。
もしあなたが今、「帳簿はこれでいいのかな?」と不安を感じているなら、きちんとあなたの顧問顧問税理士に相談してください。
もし、まだといないという場合は、ご相談ください。記帳や申告、調査対応に関して、「ちょっとした相談」でもOKです。(初回無料)正直に言えば、調査が来る前に直せることはたくさんあります。“知らなかった”では済まされない時代。だからこそ、「正しく知る」「正しくつける」が、これからの小さな事業を守る力になるのです。