マメな人の小さな節税 -セルフメディケーション税制

1.セルフメディケーション税制とは

 今回は、はしやすめ的な小ネタです。「セルフメディケーション税制」などと聞くとなんだか難しそうな響きですがざっくりいうと中身は簡単で医療費控除のお薬版です。そして医療費控除の場合は世帯で10万円超ですが(所得によっては例外あり)ですが、「セルフメディケーション税制」の場合1万2千円以上です。

例えば5万円の医薬品購入で所得税率が20%の方は

 (50,000 -12,000) x20%=7,600 国税分

 (50,000 -12,000) x10%=3,800 国税分

合計11400円税金が減ります(復興所得税分除く)のでちょっとしたお小遣い程度にはなります。すごく良さそうですが昨年度の申告でこれを利用した方は26,000人しかいなかったそうです。医療費控除は749万人(29年度国税庁資料)が適用したそうですから圧倒的な少なさです。なぜなのでしょうか?

2.セルフメディケーション税制の条件

 実はこのセルフメディケーション税制の適用には2つの要件があります。一つはすべての医薬品が対象になるのではなく「スイッチOTC薬」だけが対象になるということです。「スイッチOTC薬」とはもともと医療用で処方箋を元にした薬剤師の調剤なしでは買えないものでしたが、一般用になり店頭で薬剤師の指導の下買えるようになったものです。その内容については、いろいろと成分が厚労省のHPとかに書かれていますが、薬剤師とか薬マニアではない限りまず無理です。一般の方はよく見ると薬局から渡されたレシートに★マークなどで「セルフメディケーション税制対象」などと書かれているのでそれを集めておく必要があります。

 また、もう一つとしてインフルエンザ予防接種・健康診断(特定検診、人間ドックなど)・がん検診など健康のための一定の取組を行い、その書面も保管しておく必要があります。

 加えて医療費控除との併用はできませんから、マメで几帳面、医者・病院嫌いなどで自分で薬を購入して直したい方のお小遣い稼ぎに使うといったところでしょう。確定申告相談でも受けたことないですし、同業の税理士に聞いてもこの税制実際やったことがある人誰もいませんでした。レシートで★マークのついた金額を集めていくなどは、相当マメでないとできないと思います。

3. セルフメディケーション税制の狙い

 セルフメディケーション税制の狙いとしては医療費の増加を防ぐことがあります。症状の軽い病気であれば、病院などの医療機関を受診するのではなく、医療用医薬品と同じ成分を含んだ市販のOTC医薬品を活用して健康管理を行うことで、医療費を減らそうという意図があります。医療用薬品は保険適用がありますが、スイッチOTCは保険適用無しなのでできるだけスイッチOTCを使ってほしいわけです。要するに保険適用がされない代わりにアメがこのセルフメディケーション税制というわけです。

 この意図は非常に大切だと思うのですが、所詮庶民感覚に乏しいお役人の発想なので、大抵の人はここまで面倒なことをしてちまちまやりたくないのであまりぱっとしない残念な税制になってしまっているのが現状でしょう。

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