小さな会社とフリーランスの方の保険と節税の話
目次
1.税理士と保険代理店
実は税理士の中には保険代理店になっている方が少なからずいらっしゃいます。保険会社としては様々な事業主や社長と日頃から接する職業ですし、財務内容もよくわかっているので保険を勧めるのに最適と考えているのでしょう。税理士にとっても販売手数料が入るので経済的メリットがあります。実は私もある生命保険会社の代理店をやっています。ただ、結構かなりの割合の税理士がそうであるように税理士協同組合や地元の税理士会の付き合いで入っているというケースで私もそのパターンです。中には専業の保険代理店顔負けの収益を上げている税理士もいるようですが、私はほとんど手数料には興味がなく、劣等生代理店です。ただ、お客様から相談を逆に受けることもあり、保険の知識は大切だと思っていますので細々と代理店は続けていこうと思っています。一方保険会社の方は私のような劣等代理店でも頑張ってほしいとのことでお客様の決算期などは節税商品として進めてくださいとはっぱをかけに来ます。そこで保険と節税について本当に基本的な話だけしたいと思います。
2.フリーランス(個人事業主)と保険
節税という観点からはフリーランスの方には全く保険は勧めません。「保険料控除があります」といわれますがいくら払ってもほぼその控除も4万円が上限、しかも所得控除ですから税率20%(含む住民税、除く復興特別所得税)として税金は8000円しか得になりません。ただし、リスクに備える人生設計という意味で保険は一つの選択肢として重要です。本当にきちんと考えようというのならば信頼できるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをお勧めします。実は保険は分割だから気づきませんが、数百万の買い物なのです。したがって、相談料をかける価値はあると思うわけです。
3.小さな会社と保険
節税という意味で単純ですが必ず考えたほうが良いのは定期保険(終身ではない期間が10年程度の生命保険)です。社長個人で定期保険に入っている場合は個人事業主と同じですが会社で入ってると原則全額損金になります。もしものことがあり、保険金が入った時に法人の利益になってしまいますが会社の整理の費用や退職金で相殺できることが多いですし、死亡退職金の場合、相続税上の控除もあります。
一方保険会社が強く勧めるのは節税+退職金対策の保険です。酷い例だと万年赤字で倒産スレスレの会社の社長が嬉々として、このような保険に入ってしまったケースで当たり前ですが万年赤字では節税にならないですし、倒産したら保険金も債権者に取られてしまいます。私の場合だと、ほぼ毎年安定した利益が見込めて資金繰りも安定、本人の人生計画がかなりはっきり決まっていて引退年齢なども決めているケースの方のみお話しをします。節税には見えますが理論的には税の繰延効果でしかなく、本当に効果が見込める方というのは極めて少数です。資金繰りも圧迫するので広くお客様には勧めません。
たまに税理士も目をみはるような節税保険やスキームが生まれるのですが大抵税務当局も気づいて穴をふさぎにかかります。リスクをある程度とって節税をしたい方以外はこれもお勧めではありません。
4.保険について
まとめると保険自体は否定しませんが小さな会社やフリーランスの場合、人生計画>節税であり、きちんとした人生計画のもと加入すべきだと思います。したがって、法人の場合財務的インパクトがある場合税理士にも相談すべきですが、財務的な人生設計のために信頼できるFPなどにご相談することをお勧めします。税理士の中にはFP資格を持ってそのあたり強い方というのは存在していますが、まだまだ極めて少数派です。ここで私がFP資格を持っていればよい流れの宣伝なのですが、私も残念ながら多数派なので信頼できるFPさんを紹介することができますという事でこの話を締めくくりたいと思います(笑)。
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