不思議な社会保険料
確定申告シーズンが到来しました。士業・コンサル業のように源泉徴収で事前に税金をとられている場合はわりと源泉徴収分が戻ってくるケースが多いので必死になって領収書をかき集めている方もいらっしゃるのではないかと思われます。みな税金のことは必死なのですが実ははるかに正直痛いのが社会保険です。消費税率が2019年10月から10%になり、いつもの通り消費税反対の声も声高く上がったと思うのですがあまり社会保険料値上げ反対の声は聞いたことがありません。
消費税導入前年の1988年から見てみると会社負担も含めた協会健保全国平均健康保険料率(8.3%→10.0%)、介護保険料率(0%→1.57%)、厚生年金(12.4%→18.3%)とざっくり20.7%から29.87%に実は10%程度上がっています。本当は2003年から賞与からも社会保険料を徴収するようになったので実質はそれ以上です。消費税が消費した金額に関しての10%ですが社会保険料はサラリーマンは収入に対する10%ですからかなり痛いと思います。よく一人社長の方などから法人税が高くなったので給料をあげて減らしたいですと相談があります。しかし、中小企業の場合法人税が減った以上に社会保険料が増えますし、個人所得税も上がるので単に金銭負担だけの問題でしたらお勧めはしていません。配偶者控除の件も働く女性支援で年収制限はありますが150万まで拡充される事にはなりましたが、一方で社会保険料が年収106万以上だとかかる(従業員501人以上の企業など多少条件あり)こととなり、実際にはマイナスの影響となっています。
このようになぜか消費税だけは特に野党を中心として大騒ぎとなるのですが、社会保険料などはあまり話題になりません。厚生年金は18.3%も負担している一方、厚労省はこれ以上料率は引き上げないと宣言しています。その結果としては普通に考えて自分が老人になっても払った分ほど年金は戻ってこないと覚悟しています。まあ、体が元気なうちは働くんだろうな(特に嫌いではないのでかまいませんが)と思っています。その一方で年金年齢の引き上げはあまり進みません。健康保険も低年収でハードワークに介護職の事を考えれば介護報酬の引き上げはともかく、高所得の医師の診療報酬も引き上げと方向は逆に向かっています。節税は出来ますが、一般的に節保険料はできないのでなんだかチマチマとした節税などはむなしく思うことはあります。