JDI(ジャパンディスプレイ)の誤算

JDI

液晶パネル大手のJDIがこの夏に抜本的な経営再建策を策定するようです。国内工場の再編と他社との資本提携を視野に検討するようです。スマホなどの中小型液晶パネルで世界首位ながら3期連続の最終赤字に苦しみ資金繰りが悪化、一方将来は有機ELパネルが主流になりつつある中、まだ量産体制には入れない状況です。JDIは東芝、日立、ソニーの中小型液晶部門が集まって2012年4月に事業を本格開始した企業です。確かに液晶業界は体力勝負になっておりサムソンなど韓国勢の資金力にはかなわないという面はあります。しかし、それは本当の原因でしょうか?根本的な原因は日本の合併会社にありがちな意思決定の遅さがある気がしてなりません

まず3社連合することの意味の一つは合理化というものがあります。しかし、生産性が低いとされていた深谷工場の閉鎖を決めたのは2015年3月期の最終赤字がほぼ確実になった2014年10月です。工場の閉鎖というのは唯一絶対の解ではありませんが、赤字になったら閉鎖しなければならないような工場は本来発足の際に閉鎖が決まっているくらいのスピード感なければサムソンには及ばないでしょう。深谷工場は旧東芝の工場でしたから、「なぜうちの工場が最初に」のような抵抗があったかもしれませんが。良くも悪くもサムソンは意思決定の速い軍隊のような企業ですから昔の3社の姿そのままに小田原評定をしているようでは勝負になりません。

有機ELパネルへの進出の遅れも非常に残念なことです。液晶の高度化で勝負に勝てると経営陣は考えていたようですが、私のような門外漢でも有機ELの時代がやってくるという話は3~4年前から結構聞こえていたことなので不思議です。「人は見たいと思う現実しか見ようとしない」ので、「有機ELは主流になるはずはない」と決めつけるのはありがちです。たいてい「見たくない現実」から目をそらす体質の企業は衰退していってしまいます。

遅まきながらこの夏の「抜本的な経営再建」は最後の勝負になると思います。偏狭なナショナリズムと思われるかもしれませんがシャープが台湾企業になってしまった今、JDIは日の丸液晶として頑張ってほしいと思っています。もう旧3社の意識は忘れてJDIとしての最適解を見つけてほしいものです。

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