高度プロフェッショナル制度は単なる残業ゼロ法案か?
高度プロフェッショナル制度(正式には特定高度専門業務・成果型労働制)を導入しようと安倍内閣は考えているようです。一方、民主党などは単なる過労死・残業ゼロ法案だと反発しているようです。少し内容をみて行きたいと思います。
現行の提案は年収1075万以上(労働者の平均年収の3倍)を超える高度な専門職(金融商品の開発、ディラー、アナリスト、コンサルタント、研究開発)に対しては時間外、休日、深夜など一切の割増賃金が支払われないというものです。ただし、始業から24時間以内に継続した休憩時間、4週間に4回、年間104日の休日はもうけなくてはいけないことになっていて、かつ健康管理として働く時間に上限をもうけることになっています。そもそも金融商品の開発、ディラー、アナリスト、コンサルタント、研究開発は成果が出ないと意味がない職種なので無意味に長く働かせるインセンティブは企業側にはないと思われます。また、研究開発は少し違いますが金融・コンサルは非常に流動性の高い職種なので理不尽な労働上環境だとどんどん人材が流出すると思われます。小さく生んで大きく育てるとの見方でいったんこの法案が成立するとどんどん年収基準は下がり、専門職の範囲も拡大していくだろうという心配もあるようです。しかし、この方向に行くのはおそらく確かだと思います。
多少楽観的すぎる見方かもしれませんが、高度プロフェッショナル制度でどんどん柔軟な働き方が進んでくるのではないかと思っています。イメージとしては「社員をサーフィンに行かせよう」という米カリフォルニアのアウトドアウェアメーカーのパタゴニアの創設者が言った言葉です。狙いは社員一人一人がプロとしての自覚をもって自己管理をして効率的に仕事を行うという考えです。いい波が来たら平日昼でもサーフィンに出かけるけどその分時間をうまくやりくりして自分の仕事をきっちりやるということです。できたら企業規模の大小にかかわらずこういった働き方ができる社員や組織を生み出せたら素晴らしいことではないでしょうか。一方横並びで暇なのに周りがやっているからダラダラ会社に残る、こんな経験をしたことのないサラリーマンは珍しいと思います。高度プロフェッショナル制度がこういった風潮に風穴を開けてくれればと期待しています。そういった意味で、毎朝の朝礼に出社を強制される(マーケット相手のディラーは仕方ないと思いますが)とか時間に関して上司の許可が必要(知らせることは必要と思いますが)など実質時間管理をしているなどの単なる脱法行為でないかは労働基準監督署などが目を光らせておく必要があるとは思います。
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