花王の売上が減るのはなぜ? -新会計基準

IFRS

大きな会計基準の変更はしばらくありませんでしたが、久々にIFRS15号(顧客との契約から生じる収益)の導入企業が出始めました。花王が2017年12月期から前倒しで適用するようでその結果売上が一部減るようです。本来2018年1月1日以降の開始する事業年度から適用が義務付けられているのですが前倒適用も許容されています。この会計基準の導入により収益認識について企業によってかなりまちまちだった部分が統一化されると思われます。

花王の場合は日本経済新聞の記事によると大手小売業で自前の物流センターをもつ先に対しては直接その物流センターに商品を送っていました。その際大手小売業に払っている手数料に対しては今まで費用で計上していたのですが今後は売上から控除するため売上が減るというものです。この新会計基準の導入によって企業側は5つのステップで収益を認識することとなりますがステップ3の取引価額の算定で顧客に対して支払う対価は減額しなくてはならないケース(5.3.4)が多くなります。その点から検討して大手小売業に払っている手数料を売上から控除したのだと思われます。

このケースの場合は費用との純額なので利益額は変わりません。売上を総額で挙げるべきか純額で挙げるべきかではざっくりいうと純額で挙げるケースが多くなると思われます。多分企業側に大きな影響があると思われるのはステップ5の収益の認識の部分で「履行義務の充足」によって収益が認識されるという部分です。簡単にいうと「一定の期間にわたって履行義務が充足される」のか「一時点で履行充足されるのか」によって収益の認識時期が異なります。収益の認識基準が厳密になって今まで計上できたものが「履行義務が充足されていない」と判断されれば、されるまで収益の計上がされないという可能性があることになります。特に長期にわたって商品・サービスを提供したりする企業にとってはインパクトは大きいと思われます。今後の導入対策が必要かと思われます。

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